【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

82ねむ ページ33

どうやら弾入れはアルくんたちみたいな機工士、ガンナーの独壇場らしい。アルくんと似たような装備をした生徒たちが何十人とグラウンドにそろっていた。
仲良さそうにチームメイトたちと話しているアルくんが物珍しくてしばらく見ていると、司会進行からそろそろ始まりますよーとコールがかかる。

それを受けたアルくんたちはすぐに持ち場へと移動した。
どうやら一般な学校の玉入れと似たような形で、籠の中にテニスボールのような球を入れるところは同じらしい。だがいかんせん、籠の高さが一般な学校のそれと比べ物にならない。首が痛くなるほど見上げた先に籠があった。
え、あれに入れるの？

「スタート五秒前！」

そんな掛け声に、アルくんは何やらごつい銃を構えた。どうやら弾入れ専用の銃らしいが、見た目はグレネードランチャーによく似ている。

「5432……1！」

カウントが終わると同時に素早い動きでアルくんは足元にあった球をまず一球銃に突っ込む。ガン！ と強い音が聞こえたかと思うとその球は綺麗な弧を描いて籠の中に落ちる。
すごい、命中力が半端ない。よく見れば口元が動いていて彼の手元も何やら光っている。どうやら命中力をあげるサポート魔法、「エイム」を使っているようだ。
だが問題はほかのチームもおそらく同じ魔法を使っているが、それでも何発かミスっている。割合で言うなら5発撃って3発ミスってところか。

そして何が一番すごいかというと、アルくんのチームメイトはみんな銃を捨てている。
全員が球を拾ってアルくんにパスする仕事に回っているのだ。つまり撃つのはアルくんのワンマンセル。
ほかのチームは全員が撃っているか、最低でも三人は銃を構えている。それなのに、

「……すごぉ」
「チッ」

圧倒している。先ほどから撃ち続けている何十個といった弾は一つ残らず籠に入っている。一度もミスをせず、一瞬も後れを取らない。
明らかに群を抜いて優秀だということが見て取れた。

『し、終了です！ 会計様率いるチームは一足先に全弾を籠に入れ終え、一位です！』

歓声がテントを揺らすほどの声量であがる。観客から名前を呼ばれたアルくんは、ニコニコ笑顔で手を振っている。
これで赤組はぶっちぎりで総合一位になってしまった。が、その順位はすぐに動くことになる。

「副会長バランス感覚よすぎじゃね？」
「……あいつ俺と同じメイジだろ……バランス感覚関係ねぇはずだが」

完全に斜めになっている棒の上で平然と立ってる副会長によって。

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