【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

74ねむ ページ25

「何々、どうしたの！？」

風紀委員の保護対象のためなかなかどうして風紀委員たちとは親しい私を含め、興味本位で覗きに来たリデル、アルくんとヴァ―ノンさん三人で風紀室まで駆け付け覗き込む。
ドアを開く描写を割合したかと思われそうだけど、なんとドアがないのだ。蝶番を残すのみとなっていて、残りのドアは廊下の向こうで無残に破壊されている。
ちなみに風紀嫌いで有名な会長は、「あの糞野郎が死んだかどうかだけ報告しろ」と言って生徒会室に残った。糞野郎はたぶん風紀委員長のテオ先輩のことだ。

「うわぁあA助けてぇ！」
「うわっ和先輩！？」

半分涙目で風紀室から出てきた和先輩。久しぶりの登場じゃない？風紀副委員長のくせに。
その奥にはユーリもいて、彼も彼でいつもの余裕そうな顔が消えて顔が少し青ざめていた。
一番奥にテオ先輩。麗しいお顔が困ったように歪んでいる。

「何が起きたんですか？」
「双子がさぁ……」

あとはもう見て確認しろとでもいうかのように、和先輩が室内を仰ぎ見る。
見てみれば、騒ぎの中心に確かにリクとカイがいるではないか。

「な、なにやってんのリク、カイ！？」
「ホノホノ！」
「ホノホノ、助けて！」

リクが私のほうに向かって駆けてきては、私を盾にするかのように背後に隠れる。
え、待って、何これ怖い人質？

「ホノホノ、どいて」
「ホノホノ、だめだよ！」
「どきたくてもリクがめっちゃ力強くて動けないんですけど」

ぐぐぐ、とわき腹をがっしり掴まれて身動きができない。男並みの魔力があっても腕力や体力で勝てるわけがない。
なんだこれ、ジョークか？と思っているとぴたりと前と後ろの瓜二つの動きが止まり同じようなきょとんとした顔になった。

「ホノホノ、僕がカイってわかるの？」
「僕がリクってわかるの？」
「それなりに長く一緒にいたからね――っていたいたいたいた」
「今はそんなのどうもでいいんだって！ 助けてホノホノ！」
「聞いたのそっちじゃね！？」

カオスになりかけてるあたりで話が戻され、私も我に返る。
どうでもいいけど間にいて巻き込まれるのだけは絶対に嫌だ。

すると、カイの顔がぎり、と深く怒りに刻まれた。

「リクのやつ、ランサーの代表に呼ばれてたのに僕に秘密にしてやがったんだ！」
「そ、それはカイが怒ると思って……言えなくて！」
「そうやって、リクはいつも僕をコケにしてる！」

成程、双子はいつも同じであるべきと思っている意識からの衝突か。
小説で読んだわ。

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