【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

60ねむ ページ11

「本当にすみませんでした……ホノカさん」
「Aでいいですよ。あと、フリをするのが面倒くさいなら素のままでも大丈夫です」
「いえ、あの口調はがさつで……本家には再三躾けられまして」
「俺は嫌いじゃないですけどね」

萌えるので。

風紀委員長はその整った顔をくしゃりと歪めては至極申し訳なさそうな表情を浮かべている。
私は萌えさえあればなんでも許せるので、さっきの彼曰く「無礼」は頭の片隅にすら残ってない。興奮しない？猫かぶり昔は不良な風紀委員長。

「寝ぼけてたんですね。お疲れですか？」
「えぇ、まぁ……風紀の配置とかを昨夜遅くまで決めていましたので。祭りの前日は色々緩くなって一番狙いやすい時期でもあるので、夜中まで見回りをしていましたし」
「大変ですね」

って、今現在制裁の危機トップは私か。
他人事みたいに言ってしまったけど、申し訳なさそうにするべきなのだろうか。

「昨夜はホノ、いえ、Aさんが制裁されたと聞きました……風紀の力が及ばず」
「いえいえ、俺も自主的についていった節もありますし。今はリクやカイがついてくれてるので。あ、それも多分委員長が配慮してくださったんですよね？ ありがとうございます」

ぺこりと頭を下げればゆるりと笑みを浮かべた。やはりすごく美しいなぁ。ヴァーノンさんもそうだけど、白馬の王子さまって言われたらこんな感じの笑顔を思い浮かぶだろう。
でもやっぱりなぁ。

「ちょっと素で喋ってみてくれません？」
「へ……」

しばし困惑に目を瞬かせてから、合点がいったのか眉根を寄せて少しだけ難しそうな顔。
ちょっとだけ迷ったかのように口を閉ざしてから、再び開いた。

「こんな感じで、いいのか……？」

あっ鼻血でそう。
少しだけ恥ずかしそうにする風紀委員長さんは、照れ臭そうながらもあの王子さまスマイルを浮かべず口はへの形だ。

「やっぱりそっちの方が好きですよ。外行きの顔は外行きの時だけにすればいいのに」
「普段からあぁやって敬語を使ってないと、ふとした時に口をついて出てしまいそうでな……」

苦笑を浮かべるそんな彼は自然体で、やはりこちらの方がやりやすいのだろう。
あと鼻血出そう。

「あ、そういえば、風紀委員長の名前を聞いてないんですが、伺っても？」
「あ、あぁそうだったな。俺はテオフィール・ハインツという。俺がこの口調の時はテオで構わないぞ」

あれ、もしかしてフラグ立った？
どうでもいいけど鼻血でそう。

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