47ねむ ページ48
びりり、と静電気にでもあたったみたいに痺れる腕をそっとさする。
尋常な雰囲気ではない。剣呑。ふ、とまばたきをして次に目を開いた瞬間にでも戦闘が始まりそうな緊張感。
私のために争わないで!――とか、私が能天気なヒロインだったら言えただろうに。
残念ながら背中が粟立ち、後ずさり逃げ腰になっている私にはそんな度胸はない。私の逃走本能が今すぐ逃げろとレッドシグナルをガンガン鳴らしている。
成程、これが実力者である黒や赤の魔力を持ち、学園トップの能力を有している者たちか。
ナメてかかったわけではないが、忘れそうになっていた。
この学園には、優秀の中には優秀しか集まらないこと。そしてその学園を束ねる生徒会役員なれば、特に。
「……俺も、反対」
そういいつつガタリを席を立ったのは、私の後ろで座っていたはずのリデル。
いつものおどおどした雰囲気はどこへ脱ぎ捨てたのか、まるで戦場へ向かう武士がごとくきりりと瞳は吊り上げられ真っ直ぐに会長を見つめていた。
リデルの大きな、私の二倍くらいはあるのではないかという手が、机の後ろから歩み出る身体についていくように机の表面を撫でる。
私の前に立ちはだかったリデルは、まるで私のことを守ろうとしているかのように右腕を私の体の前にかざした。
「……新入りはどんだけこいつらを絆してんだよ」
「正直言うと、ヴィル、僕も反対ですよ。Aさんは唐突に補佐として任命されたにも関わらず、しっかりと怠惰することなく仕事をこなしています。あと、あの理事長の決断にこれごときで逆らうなんて得策じゃありません」
「これごときだ?」
「はっきり言わせてもらいますが、あの事件は明らかにヴィルが悪いですからね」
一般生徒に突っかかるだなんて、とため息交じりにヴァ―ノンさんがこぼす。
だよね?よかった、おかしいのは私じゃなくて。あの時ちゃんと正しい判断できる人なら絶対私側につくよね。
「あと、僕はAさんの淹れる飲み物が好きです」
「えっそれは素直に嬉しいです」
しまった、思わず口を開いてしまった。
俺も嫌いじゃないよ!と賛成したアルくんにありがとう、とお礼を返す。どうせ好きでもないんだろ。私アルくんに対して警戒心解くつもりないからな。
「はい、満場一致ー」
「満場一致……じゃ、ない……。ヴィル……一人、対、俺たち……」
「ま、多数決で決定ですね」
悔しそうに前髪をくしゃりと掻き崩す会長。
おお、なんだこの優越感は。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» きゃーありがとうございます!生きる糧なんて嬉しい!ゆっくりですが更新頑張ります。これからどんどんキャラ増やすのでどんどん推しが増えますように! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ウィワクシアさん» ショートだったのですね……主人公にはない魅力です……! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ほたるいかさん» えぇえぇええ嬉しい!ゆっくりになりますが更新頑張ります! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
礼羅(プロフ) - 毎話楽しみにしています。本当に素晴らしい作品で、もう生きる糧の一つのようなものです!更新待ってます! ちなみに私の推しは主人公とエドです (2018年6月20日 18時) (レス) id: f42c81b12e (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - これ読んでたら高校時代スラックスで通って「どっちですか」って聞かれまくったの思い出した (2018年5月22日 19時) (レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月6日 13時