21ねむ ページ22
心地よいお昼寝だったのに、携帯に設置していた目覚ましが鳴り響いて私の意識は強制送還される。あぁ、さよならふわふわ雲の世界……。
うあー、と乾いた喉から声を絞り出して、背伸びをするとこれが気持ちいい。重力に逆らいたくない体を叱咤して起き上がって、私は洗面所に向かおうとした。
「あれ、オオカミくん」
「っ……起きたのかよ」
そんな露骨にびっくりしなくてもね。
洗面所に向かおうと立ち上がったら、ダイニングテーブルの椅子にオオカミくんが腰かけて新聞紙を読んでいた。本当にニュースよく見るな。政治家の息子って言ったって見すぎだろ。趣味か。
「俺これから生徒会の仕事なんだー」
「……しらねーよ」
「うひゃーんオオカミくん俺に冷たい」
「うっぜ」
ばさ、と新聞紙を折りたたみ席を立つ。ありゃ、さすがにうざかったかしら。
しょうがないからと洗面所に向かい、顔を洗って軽くうがいをする。うーん!男にしか見えない!本当になんで理事長たちにはすぐばれたんだろうなー。
「じゃオオカミくん、行ってくるねー」
返事はなかったけど、まぁいいか。
全然慣れない足取りで生徒会室へと向かう。
道中いろんな生徒がものすごい顔つきでじろじろ見てきて、まるで品定めされているようだった。私は市場の魚かな?結構ぴちぴち新鮮だよ?触ってく?
昨日警備員さんに教えてもらったカードリーダーに携帯をかざすと、ぴぴっと軽快な機械音が響く。それと同時に目の前のガラス扉が私を受け入れるように開いてくれた。
流石に金かかってんなー。
本来ならここを通る資格なぞないものだから、その間を通った瞬間に扉に挟まれないかと恐る恐る入ろうとしたら後ろから声がかかる。
「あれ、A?」
「あ、アルくん」
「これまた変なことしてるね。 どうしたの?」
「いや、自動ドアが閉まって挟まったりしないかなって……っていうかひどいよ、昨日ちゃんと私に出ていき方教えてくれなかったでしょ。 消灯時間まで迷って警備員さん呼ぶ羽目になったんだよ」
「ぶはっ……え?うそでしょ?知らなかったの?」
「知らなかったよー、先生になーんも説明されなかったしー」
「かっわいそー……でも今はもうわかるでしょ」
「さすがにね」
そんな会話を交わしながら生徒会室に入ると、すでに副会長とリデルがそこにいた。
「こんにちはー」
「あぁ、ホノカさん、こんにちは」
「……A……こんにちは……」
リデルこんにちは、と挨拶を返して私は席に着いた。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» きゃーありがとうございます!生きる糧なんて嬉しい!ゆっくりですが更新頑張ります。これからどんどんキャラ増やすのでどんどん推しが増えますように! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ウィワクシアさん» ショートだったのですね……主人公にはない魅力です……! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ほたるいかさん» えぇえぇええ嬉しい!ゆっくりになりますが更新頑張ります! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
礼羅(プロフ) - 毎話楽しみにしています。本当に素晴らしい作品で、もう生きる糧の一つのようなものです!更新待ってます! ちなみに私の推しは主人公とエドです (2018年6月20日 18時) (レス) id: f42c81b12e (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - これ読んでたら高校時代スラックスで通って「どっちですか」って聞かれまくったの思い出した (2018年5月22日 19時) (レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月6日 13時