男装腐女子の魔法科男子校潜入記

19ねむ ページ20

「ぁふ……」
「末明、真面目にやれ」
「やってまふゅ」

本日は先日の魔力テストに引き続き、職業別のテストだ。まぁ一年の初めにやる身体測定みたいなものだと思えばいい。ただし身体測定の結果でその人のレベルが分かれることだけ、それだけを知っていればいい。
午前に召喚士の知識を図るための筆記テスト、午後は実技テスト。

ところで魔力の強さでその人のレベルを図るこの世界では前も言った通り男尊女卑が激しく、魔力の低い女性は学校に通う必要はあまりない。魔力向上を目的とする学校に、魔力が低くこれ以上上がることもない女性が通っても時間と金の無駄だからだ。だから大抵の女性は中卒、高卒は全世界数えても両手に収まる数と言ってもいいくらいだ。小卒だって少なくない。一般常識と一般知識を身につけれればそれでいと思われているんだろう。
その後は就職、主に家事。かくいう私も実は小卒で中学は通っていない。高校は今現在通ってるわけだけど。
中学校にいるはずの間は家事とともにこの高校に入る資格を得るために召喚術をメキメキと鍛えていた。

何が言いたいかって言うと、高1レベルの召喚術はこう見えてもお手の物だということだ。

一際小さい円をその指で描き、中央を拳で軽くノックした。

「アルミラージ、少しだけ出ておいで」

すぐさまその円は光を放ち、光の中から角の生えた兎のような動物が現れる。金色の毛にその獰猛な角はミスマッチで、いつ見ても怖いなぁと思わず苦笑してしまった。
ぐる、と唸ったアルミラージのツノに触れないように額を撫でてあげる。自分より大きい獲物でも、また人でも構わず突き刺し食い散らかす習慣のあるアルミラージにとってツノはまったく触れられたくない場所なのである。

「よし、末明 A合格」
「はいありがとう、もう戻っていいよ」

そういうと、アルミラージはすぐさまいまだ光を放っている円の中に戻り光とともに姿を消した。
ちなみに召喚している最中にこの円を物理的な方法で――例えば踏み消すなどして――消されると、召喚は強制終了、召喚獣は強制的に元の世界に連れ戻されるのでこの陣はとても大切なものです。ここテストに出ます。

「ちなみにお前は赤だったな」
「はい、そうですが……」
「残念だな、レベルSの召喚獣でも召喚できない限り宝の持ち腐れだ」
「ははは、そうですね」

にっこり笑って愛想よく答えれば、先生は次の生徒を呼んだ。
振り返りぺろりと舌を出す。黙っておこう。

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