14ねむ ページ15
淡々と仕事を片付けていく。山積みの資料をそばに、パソコンで必要な情報を集めて照らし合わせるっていう簡単なお仕事。
3時から初めて、今の時刻はもう5時だ。
「あの、お飲み物淹れようと思うんですけど」
「あ、俺カフェオレ〜」
「……煎茶」
「僕は紅茶をお願いします」
あっはっは統一しろ?
この人たち、補佐をパシリ扱いすることに一切遠慮ない感じだね?困ったことがあったら言ってね、とかジャ〇ーズも顔負けのとろける微笑みを送ったアルくんはミルクと砂糖が個人で好みが分かれるドリンクをオーダーしてきたよ?
「……会長は?」
私もコーヒーにしようと思いながら、しょうがなく腰を上げ会長に聞く。
「……ココア」
は?萌え。
吐血しそうな口元を抑えながら、私はその場にしゃがみこみ人ひとりが収まりそうな円を指で描く。その中央を指の腹でとんとん、とノックし私は召喚の言の葉を紡ぐ。
「……エルフ、飲み物を淹れるのを手伝って」
すると私の描いた円は光を放ち、薄緑の長い髪と深緑の瞳が印象的な、私より数センチ身長が高い美女が召喚される。彼女こそ、私と召喚を交わしたエルフである。
召喚士が使用する召喚術はかなり簡単なものだ。召喚獣が通れるほどの大きさの円を指でも木の棒でもいいので平らな場所に描く、それが召喚獣が通る扉となる。その中心を指か手のひらで二回叩く、それが召喚獣が住む別世界への「おじゃましますよ」というノックになる。そして呼びたい召喚獣の名前を呼び用事を告げる。これだけで召喚終了だ。
一番面倒くさいのが契約なのだが、それはおいおい説明することにしよう。
「来てくれてありがとう、エルフ」
へらりと笑えば、その美しさを惜しげもなく使った優美な微笑みで返してくれる。
早速給仕室に向かおうと踵を返すと、背中に声がかけられた。
「Dランクの召喚獣、やっぱり赤の魔力値なんて宝の持ち腐れだな」
「……それは私個人のみを狙った嫌味なんですよね」
「……あ?」
ふわりと滑るように浮いていたエルフはじっとりと会長の方を見つめる。その目には一切の感情もこもってはいない。
そんなエルフをかばうように私は彼女の前に立ち、舐めるように会長を見た。
「……んだよ、なんか文句あんのか?」
「いいえ、ただなぜ会長が召喚士に成りえないのかを理解しました」
「あ゛?」
「覚えておいてください。 ランクなどは所詮人間がつけた憶測上の格付けです。 そういう目で彼女らを見るのはやめた方がいい」
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» きゃーありがとうございます!生きる糧なんて嬉しい!ゆっくりですが更新頑張ります。これからどんどんキャラ増やすのでどんどん推しが増えますように! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ウィワクシアさん» ショートだったのですね……主人公にはない魅力です……! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ほたるいかさん» えぇえぇええ嬉しい!ゆっくりになりますが更新頑張ります! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
礼羅(プロフ) - 毎話楽しみにしています。本当に素晴らしい作品で、もう生きる糧の一つのようなものです!更新待ってます! ちなみに私の推しは主人公とエドです (2018年6月20日 18時) (レス) id: f42c81b12e (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - これ読んでたら高校時代スラックスで通って「どっちですか」って聞かれまくったの思い出した (2018年5月22日 19時) (レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月6日 13時