1本の傘を君と

ポンコツだなんて／ko-chan ページ4

＊side：こうちゃん＊

Aが今日もQuizKnockの動画を見ている。

時折漏れる笑い声で楽しんでもらえていることが伝わり少し嬉しくなる。

でも正直言うと、あまりAには俺らの動画、特に俺が出ている動画は見てもらいたくない。


「こうちゃーん！昨日あがってた動画見たよ！QuizKnockの動画はどれも面白いしタメになるね！」

「早速見てくれたんだ！どうだった？」

「うん！あのね…………」


元気いっぱいに感想を伝えてくれるA。

でもそれは、須貝さんがすごい、山本さんがすごい……俺以外のライターたちのものばかり。


たまに俺の名前が出てきたかと思えば、ポンコツキャラへのいじりのようなもので。

……俺だって頑張ってるのにな。


「もっと俺の事も褒めてよ！」

「えー？どうして？」

「どうしてって……これでも俺も頑張ってるし…」


予想外の返事についつい言葉が尻すぼみになってしまう。

褒められたいって思ったらダメなの？そもそも褒めるところがないから褒められない？

マイナスな考えに頭を支配される。
やべ、ちょっと泣きそう？
つくづく俺ってポンコツなんだなぁ……



突如目の前が暗くなった。

意識はある。目を閉じている訳では無い。柔らかな感触、ふわりと香るAの匂い。あれ、これって……


「……ごめん。ちょっと意地悪したかっただけ。いつもこうちゃんが頑張ってるの知ってる。ポンコツキャラが定着しちゃってたからあぁ言ってたけどほんとはそんなこと思ったことないよ」


上方から聞こえるAの声。
やっぱりこれ、抱きしめられてるってやつなんじゃ……

「えっ……あ、ありがとう……？」

今度はAに頭を支配された俺は曖昧なお礼しか返せなかった。
もっとスマートになりたい。


「元気いっぱいなこうちゃんの方が私は好きかな」




その一言で今日も頑張ろうと思える俺は、やっぱり単純な人間なんだろうか。

甘い罠／ymmt→←君の前では／fkr

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