1本の傘を君と

10月：口実ハロウィン／ymmt ページ15

＊side：山本＊

「山本くん、ちょっと早いけどハッピーハロウィン！」

そう言って笑うのは先輩ライターのAさん。
俺の想い人でもある。

Aさんの手には可愛らしくラッピングされたタルトが在った。


「ありがとうございます！先輩の手作りですか？」

「そうなの。いつもはあまりハロウィンで手作りってしないんだけど、気が向いたから作ってみたんだ」


普段はイベント事にはそんなに積極的に参加するほうではないが、想い人の手作りスイーツにありつけるのなら、ハロウィンも悪くない。

「美味しそうなタルトですね！上に乗ってるフルーツは無花果と…クランベリーですか？」

「ご名答！始まりがけだったり終わりがけだったりだけど今の時期どちらも旬なのよ」


にこやかに話すAさんにつられて、こちらまで笑顔になってしまう。


「そうなんですね！じゃあ記事が書き終わったら御褒美に頂きます〜」

「ご褒美なんて大それたものにはならなさそうだけど山本くんのお眼鏡にかなうといいな」

そう言ってAさんは山森さんのところに向かっていった。

「彩加ちゃん！ハッピーハロウィン！」

「Aちゃん！ありがとう〜無事に渡せたの？」

「こっ、声が大きいよ彩加ちゃん…！」


なんとなく気になって2人に目を向けているとAさんとバッチリ目が合った。

たまたまお零れをあずかっただけだと思っていたけれど、少しは期待してもいいのかな？



─続→

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