1本の傘を君と

9月：髪も、桃も、頬も。／kwkm ページ13

＊side：川上＊

「川上さん！デートしましょう！！！」

「急にどうした」

「この前駅の近くにフルーツパーラーが出来たんですよ！私は！そこに！行きたいです！！」

「お友達の女の子と行きゃええやん」

「せっかくなのでリア充感出したいじゃないですか」

「俺何枠なん」



Aの勢いにおされてフルーツパーラーに行くことが決まった。
楽しみじゃないと言ったら嘘になる。

でも男性として意識されてないようで少し複雑でもある。

デートとか男として意識してないからこそ言えるんだろうなって思うし。

「川上さん！お待たせしました！」

「待ってへんよ。行こか。」



白いワンピースに身を包んだAは贔屓目なしにとても可愛かった。

店内は新しく出来たお店ということもあってか、平日の夕方にもかかわらず結構な混み具合。
行列ができていなかっただけマシか……と思いつつ席についた。

「今桃のフェアやってるんですよ！川上さん桃好きですか？」

「めっちゃ好きって訳でもないけどまあ好きかな」

「じゃあ食べましょう！！私桃のパフェにします！」

「どないしよ……パンケーキとかにしよかな」


終始彼女のペースで進んでいく。

まあAに誘われてきたんやし別にいいか……
注文も終えて漸く一息つく。


「にしても俺誘う時すごい勢いやったけど、そんなにここ来たかったん？」

「まあ気になってはいましたけど……どちらかと言うと川上さんと来ることに意味があるというか」

「それってどういう……」


聞き出す前に店員さんが俺らの頼んだものを持ってきた。
食べ終わった後にじっくり問い質すとしてまずはパンケーキを食べよう。

「いただきます」

2人で挨拶しそれぞれの頼んだものを口に運ぶ。

桃の瑞々しさとパンケーキの甘さが合う。ソースも桃とパンケーキを上手く繋いでいてとても美味しい。

「美味いなこれ」

「パフェも美味しいですよ！一口要ります？」

気になる相手から差し出されたスプーンを断るなんてことは出来ず、羞恥心をひた隠しにし言葉に甘えた。

「パフェも美味い…………パンケーキ要る？」

「ぶっちゃけそれ狙いでパフェ差し出しました」


色気より食い気か。と少しがっかりしながら、パンケーキの刺さったフォークを差し出す。

「んー美味しい！ほんのり甘い感じがまた合いますねえ」


人の気も知らずに呑気に笑っているA。
少しムッとしたから半ば無理矢理話を戻した。


─続く→

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