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「ねえ、そんなに会いたいなら俺についておいでよ。会わせてあげるよ、日輪に」
「お…おちょくってんのかよ!あんた、おいらたちの味方じゃない、鳳仙の味方でもない!一体、なんなんだ?」
彼のその純粋な問いかけは、すでに背を向けていた神威の背中に投げかけられる。
「あいにく吉原にもビジネスにも興味はないんだ」
そう言った瞬間、向かうことのできる方向どちらにも百華の群れが出現した。
『こんな多かったっけ…』
「会いたくなった、あの夜王鳳仙をふぬけになるまでたらし込んだ女に」
一斉に切り掛かる女たち。
しかし晴太たちはもう…その場所にはいない。
「会いたくなった。吉原中の女たちから太陽と呼ばれすがられる女に」
神威は晴太と共に天井へ、Aは百華で形作られた円の外へ。それぞれ逃げている。
「お姉さん、名前は?本名の方ね」
『A』
その名を聞き終えた神威は人がいないスペースへと瞬時に移動し、群がっていた百華や鳳仙の配下たちからは血が噴き出る。
「俺はどうやら今まで探し人を間違っていたらしい」
『うん、日輪はすごくいい女よ』
「じゃあAは“おもしれー女“ってやつだ」
『なにそれ』
「さあ、会いに行こうか。吉原でもっとも美しく、強い女に」
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作者名:なんなん | 作成日時:2021年4月30日 17時