55，操られるままに ページ7
闇ノアさんが人差し指を動かすと、突然タコが動いた。
太い脚で弓矢を潰し、クロノアさんに巻き付く。
「ぐっ…！」
そのまま地面に叩き付け、動けないように体全体を脚で巻いた。
「お前、いい加減に…！」
「うるさいよ、ダークぺいんと」
再び人差し指を動かし、タコの脚を鞭のように使ってダークさんを壁に打ち付けた。
爆音とともに、ダークさんが岩の壁に埋まる。
「がぁっ…！」
「ダークッ！！」
悲惨な叫びが、胸の中にある何かを凍らせた。
「…お前にはがっかりしたんだ。その子を殺そうとしたところまではよかったんだけど。謝るなんて」
ハッとして顔を闇ノアさんに戻すと、一瞬だけ目が合った気がした。
「同じ影同士、期待してたんだけどなぁ」
壁に背を向けて座り込んだダークさんが、咳き込みながら呟く。
「な…んで、それを…」
「見てたから。せっかくクリーパーで後押ししてあげたのにさぁ」
その言葉に、私はあの洞窟での出来事を思い出した。
突然現れたクリーパー。変だと思っていたけど、まさかこの人が…。
不意に、目線をダークさんから外した。
「期待外れと言えばお前もな」
くるっと指先を動かしただけで、タコは黒神君と死神君をまとめて捕まえた。
お腹を絞められているせいで、2人とも苦しそうに顔をしかめている。
「便利なタコだろ？ 俺の命令に忠実なんだ」
指先の動きに連動して、脚が2人のお腹をさらに絞める。
「闇ノア、止めろ！」
クロノアさんの声を無視し、闇ノアさんは指を下ろさなかった。
「ぐ、るじぃ…」
死神君の呻き声に我に返り、私はその脚を切断しようとピッケルを振り上げた。
「あ、君はこっち」
次の瞬間、私のお腹周りにも脚が巻き付き、グッと締め付けた。
足が地面から離れ、どれだけ抗っても脚は離れない。
真後ろから強風が吹き、気が付くと私の体は宙を舞っていた。
変な浮遊感はすぐに消え、左半身に激痛が走る。
「痛っ…」
誰かが私の名前を呼んだかも知れない。
だけど私は体中の痛みと混乱に、そっちに意識を向けられないでいた。
ふと近くで「やあ」と声がし、顔を上げると微笑む闇ノアさんと目が合った。
そして少し離れた向こうに、タコとみんなの姿。
投げ飛ばされたと気付いたのは、もう少し後だった。
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作者名：KoToNe_0412 | 作成日時：2021年11月7日 10時
