Ep.4 -槍兵のご帰還- ページ10
太陽は丁度真上に位置し、
風も爽やかであり、
草原の草木は風にゆったりとなびき、
乾いた砂が、風に舞を舞わされる。
そんな広大なバビロニアの大地の上で
1人、険しい顔つきの人間がいた。
ボロボロのマントをはためかせ
首輪や脚に付けた金の輪は、
太陽の光を眩しく反射した。
イヤリングやブレスレットは、
風が吹く度にしゃらり、と音を立てる。
黒髪は艶やかな色をし、
深淵の深さを思わせる。
深い青の目は深海の如く、
思慮深さを感じさせた。
鼻筋は通っており、
まさに絵になる物だった。
…まぁ、彼が
顰めっ面をしていなければ、の話だが。
そして、背には禍々しくも神々しい槍。
____そう、
彼こそが旅で逞しく成長したAである。
-A目線-
貴『…はぁ。ここも、か。』
俺は廃都となったバビロンを高台から見渡す。
乾いた風が
そんな呟きを嘲笑うかのように消し去っていった。
昔はあんなに栄えていたのによ。
なんて小さく呟き
溜息をつきながら視線を大きな壁に向けた。
大きな壁では
兵士やら何やらが忙しなく動いていた。
そんな様子を見ると、
流れる様に近場の森へと視点を移す。
そこには俺の稼ぎ元…魔獣が、
機会を伺うかの如く
大きな壁の様子を伺っていた。
貴『…全く。最近魔獣が多いと思ったら…。
人間サマは魔獣との戦争でもおっぱじめたのか?』
深く溜息をつきながら、
自分の黒髪をがしがしと掻き回す。
そんな俺をせせら笑うが如く
草原の草木はさらさらと音を鳴らした。
修行の旅から久しぶりに帰って来たら、
こうも自分の故郷が変わっていただなんて
誰が想像出来ただろうか?
__そう、俺は旅に出ていたのだ。
どれくらい旅に出ていたかなんて
分からないくらい
長く旅を続けていた。
…まぁ、小さな頃の記憶は曖昧なのだが。
自分が花よ蝶よと愛でられていたらしい。
自分には友がいたらしい。
…こんな感じだ。
だが、
不思議な事に家族関連の事は覚えていた。
だからこそ
彼らの形見は肌身離さず持っていた。
勿論…自分が捨て子であった事も
ハッキリと覚えている。
だが__やはりこの槍の正体は
今までの年月を持ってしても分からなかった。
そこまで回想した所で、
馬の鳴き声で我に返った。
俺は笑ってその鳴き声に返す。
貴『あぁ、腹が減ったか?
奇遇だな。俺も腹が減って来たんだ。
取り敢えず壁の向こうに行こうぜ。』
そう言うとすぐさま馬に乗り、
壁の向こう側に向けて走り出した。
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ヨル(プロフ) - もなかさん» 感想有難うございます〜!頑張りますね! (2020年4月23日 1時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - すごいおもしろいです!!!更新頑張ってください!! (2020年4月22日 15時) (レス) id: ba3cbcb107 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - ディアさん» 有難うございます〜!頑張りますね!(*^^*) (2020年4月16日 12時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
ディア - めちゃめちゃ面白いです!お話の続き楽しみにしてます!更新頑張って下さい!^ - ^ (2020年4月12日 22時) (レス) id: f4badc1d91 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 柚夜─YUYA─さん» 感想有難うございます!面白いと言って頂けて嬉しいです〜!更新頑張りますね! (2020年4月9日 23時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑飴 | 作成日時:2020年1月26日 20時