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Ep.28 -暖かい手、槍兵の心- ページ34

A目線


そして、幾らかの日が経ち。

普段と変わらぬ、青く透き通った空に
乾いた風が吹くバビロニアの大地。

そのウルクに在る
ジグラットの玉座の間で

『…そんな、馬鹿な。』

俺は、息が止まるような感覚を受けた。


リツカ達が
ギルガメッシュ王からの
勅令を受ける様になり…

密林に在る都市、ウルに
4人で調査に行き
その数日後、廃都バビロンまで
天命の粘土板を取りに行く。

その辺は知っている。

だが
その北壁の惨状は…


『レオニダスも、牛若も…
あの北壁で死んだ、だと?

嘘だろう、ギルガメッシュ王!?』

俺は
周りにいる人々の視線も
俺から視線を逸らすシドゥリも
全てを気にせずに荒々しく叫んだ。

目の前で玉座に座り
赤い慧眼で静かに俺を見据える
ギルガメッシュ王に対して。

「…然り。
あの2人は、ニップルに出現した…
魔獣の女神 ティアマトを称する
複合神性、大魔獣ゴルゴーンの前に
__散っていった。」

静かな口調で彼はそう言った。

そんな彼に
俺は俯いて拳を握りしめながら
口を開く。

『…そんな。
そんな結果になるのだったら、俺が…ッ!』

そこまで言い切り
俺は堪らず
その場から駆け出した。


ーーー


『…まだ、立ち上がるか。』

俺は、ウルクを囲む壁から
青い空の下にそびえ立つ
北壁を見通した。

そこには、
目の前で最大の護りであろう
レオニダス王を喪い
ショックを受けている筈のウルク兵士達が
北壁の守りに徹していた。

「…此処に居たか、A。」

静かな声で俺を呼ぶ声が
後ろから聞こえ、
俺ははっとして振り返った。

『王か。…責務は良いのか?』

その声の持ち主は
俺の後ろで腕を組んで仁王立ちし
俺からの問いを鼻で笑った。

「戯け、王にとて休息は必要よ。

…して、どうだ。A。
貴様はこの光景を、どう感じた?」

彼はそう
静かな目で聞いてきた。

俺はその問いに答えるべく
北壁に視線を向けた。

『…矢張り凄いな、彼等は。
また明日も生きる為に、諦めないとは。』

先程までの苛立ちや焦燥は消え去り
今は、穏やかな気分で彼らを見つめている。

すると、頭に暖かい手が置かれた。

「…そうであろう?
為れば、我らが焦る訳にはいくまい。」

その声の柔らかさと
頭を撫でる手に、俺はかなり驚いて
目を見開いて彼の顔を見ると

彼は、俺に優しい笑みを向けていた。


その瞬間、
俺は自分の思いを自覚してしまった。


あぁ、俺は___


このギルガメッシュ王を

_____愛してしまったんだ。

Ep.29 -星を無くした暗い夜-→←Ep.27 -彼の花と記憶-



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ヨル(プロフ) - もなかさん» 感想有難うございます〜!頑張りますね! (2020年4月23日 1時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - すごいおもしろいです!!!更新頑張ってください!! (2020年4月22日 15時) (レス) id: ba3cbcb107 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - ディアさん» 有難うございます〜!頑張りますね!(*^^*) (2020年4月16日 12時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
ディア - めちゃめちゃ面白いです!お話の続き楽しみにしてます!更新頑張って下さい!^ - ^ (2020年4月12日 22時) (レス) id: f4badc1d91 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 柚夜─YUYA─さん» 感想有難うございます!面白いと言って頂けて嬉しいです〜!更新頑張りますね! (2020年4月9日 23時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑飴 | 作成日時:2020年1月26日 20時

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