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Ep.24 -湯の語らいと決意- ページ30

A目線


リツカと別れた俺は、
高い身体能力を活かして
高速でジグラットの玉座まで
階段を駆け上がる。

玉座の間まで来ると、
俺はすぐさま王がいるであろう
玉座に目を向けた。

だが…そこに王の姿は無い。

『い、居ねぇ…?』

少し切れた息を整えながら
我ながら拍子抜けした声でそう呟くと、
すぐ横から聞き慣れた声がした。

「随分と遅いでは無いか、A?」

驚いて声のした方を見ると、
ギルガメッシュ王が
柱に寄りかかってこちらを見ていた。

『わ、悪ぃ…。
リツカと話し込んじまって。』

そう言うと、ほう、と彼が声を漏らす。
少し雰囲気が険しくなったのは
気の所為だろうか…?

「…ふん、そうか。まぁ良い。
我は今から湯浴みをする。
貴様も共をせよ。」

その言葉に、俺は頷いて返した。


ーーー


『滅びの運命は…変えられない、だと?』

俺はその衝撃の事実に目を見開き
正面で優雅に湯に浸かる王を見つめた。

ギルガメッシュと俺は共に
広々とした風呂に浸かっており、
湯には良い匂いの花が浮かんでいる。

窓からは夜のウルクが一望でき、
星々が煌めいているのが良く分かる。

王は俺の問いに
濡れた前髪を掻き上げながら答えた。

「…そうだ。このウルク第1王朝は
滅びの運命なのだ。」

彼の落ち着いた声に、
俺は身を乗り出し、声を荒らげて返す。

『なッ…!そんな!!
それをこの街の奴らは知ってるのか!?』

そう言うと、
彼は静かな口調で話し始めた。

「無論だ。この街の者共は…
滅びの運命を知っていようと、
明日を生きる為に戦っておる。」

俺はその言葉に息を飲む。

彼らは、自分達の運命を知ってながら
あんなにも__

優しく、暖かいのか…。

彼はそんな俺を一瞥すると
表情を緩めて話を続けた。

「それにだな…我は確かに
ウルク第1王朝は滅びると言った。

だが…それは第1王朝の話だ。
たとえ、このウルクが滅びようと
必ずこの後に続く者が現れよう。」

俺はいつの間にか下へ向いていた目線を
ゆっくりと彼に向ける。
白い湯気の先にいる王は
その未来を見る赤い慧眼で
微笑みながら俺を静かに見据えていた。

その様子を、
俺はとても美しいと思ってしまった。

「ならば__

貴様のやる事は既に分かり切っておろう?
神殺しの槍兵、Aよ。」

俺はその言葉に、
口を歪ませて答える。

『___勿論だ。
俺のやる事は何ら変わらねぇ。
彼らを守る為に戦ってやる。』


それを聞いた王は、

満足げに微笑んだ。

Ep.25 -湯の記憶、彼の弟-→←Ep.23 -夜のウルクと逢瀬-



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ヨル(プロフ) - もなかさん» 感想有難うございます〜!頑張りますね! (2020年4月23日 1時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - すごいおもしろいです!!!更新頑張ってください!! (2020年4月22日 15時) (レス) id: ba3cbcb107 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - ディアさん» 有難うございます〜!頑張りますね!(*^^*) (2020年4月16日 12時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
ディア - めちゃめちゃ面白いです!お話の続き楽しみにしてます!更新頑張って下さい!^ - ^ (2020年4月12日 22時) (レス) id: f4badc1d91 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 柚夜─YUYA─さん» 感想有難うございます!面白いと言って頂けて嬉しいです〜!更新頑張りますね! (2020年4月9日 23時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑飴 | 作成日時:2020年1月26日 20時

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