Ep.15 -求められた答え- ページ21
A視点
『…さて、帰るか。』
冷たくなった風を肌で感じ
ため息混じりにゆっくりと体を起こす。
明日王様に会った時は
適当に言い逃れをするか。
そう考えて、
足を進め始めた
__その時。
「「「待って、お兄ちゃん！」」」
自分の背後から
舌足らずで甲高い声が聞こえる。
しかも複数。
『(…おいおい、勘弁してくれ。
…ガキは嫌いなんだがな。)』
そんな事を考えながらも振り返り
子供たちを視界に入れる。
『何だよ。ちびっ子達。』
俺は簡潔に用を問う。
見たところ、
女子が2人に男子が1人
俺を見上げている。
だが、年長者なのだろうか。
1番大人びている女子の1人が口を開いた。
満面の、笑みで。
「お兄さん、さっきは私を…
いいえ、私達を助けてくれて
____本当に"ありがとう"！」
俺は何も言わない。
__言えない。
「おにーさん、めっちゃカッコよかったな！
おれもおにーさんみたいになりてぇ！！」
それに続けて、まだ幼い男子が
無邪気な笑みを浮かべて、
そんな言葉を言ってきた。
俺はそれでも口を開かない。
__開けない。
対してもう1人の女子が口を開く。
「アンタには無理よ、諦めなさい！
このお兄ちゃんはとっても強いヒーローよ？
絶対に真似出来ないわ！」
俺はそう聞いても声を出さない。
__出せない。
「それでね、私達…
大人と一緒にこれを作って来たの。
受け取って、お兄さん！
私達の、"最大限の感謝の気持ち"を！」
そう言って彼女が差し出したのは
ベースカラーが青と水色の
とても美しい花束だった。
俺はそこでやっと喉を震わせた。
『…ｯ！待て！！
俺はお前らを守ってなんかねぇ！！
俺は、俺の為だけに___。』
王を守っただけだ。
お前らを助けた訳じゃない。
__そう、続けようとした。
「え？
だって…お兄さんは結果的に
私達の事助けてくれたじゃない！
だから__有難う！！
とっても素敵なお兄さん！』
無垢な言葉が心に刺さる。
"有難う"
その言葉を___
どれだけ、求めていたのだろう。
「…ふん、ここに居たか。A。」
そう言いながら、ギルガメッシュは
子供たちの後ろから現れた。
「…貴様の此度の働き、誠に良い物だった。
この我自ら礼を言おう。
__良くやった、A。」
そう言う彼の目は、とても優しげで。
___もう、限界だった。
俺の目から、涙が零れ落ちる。
震える手で花束を受け取り
座り込んで咽び泣く。
____記憶の中の彼は
そんな俺を見て微笑んだ。
Ep.16 -槍兵の護るもの-→←Ep.14 -黒と白銀、俺と彼-
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ヨル(プロフ) - もなかさん» 感想有難うございます〜！頑張りますね！ (2020年4月23日 1時) (
レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - すごいおもしろいです！！！更新頑張ってください！！ (2020年4月22日 15時) (レス) id: ba3cbcb107 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - ディアさん» 有難うございます〜！頑張りますね！(*^^*) (2020年4月16日 12時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
ディア - めちゃめちゃ面白いです！お話の続き楽しみにしてます！更新頑張って下さい！^ - ^ (2020年4月12日 22時) (レス) id: f4badc1d91 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 柚夜─YUYA─さん» 感想有難うございます！面白いと言って頂けて嬉しいです〜！更新頑張りますね！ (2020年4月9日 23時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑飴 | 作成日時：2020年1月26日 20時
