Ep.9 -賢王様からのご依頼- ページ15
『…へぇ？
つまりは俺を雇いたい、と？』
Aは軽く笑いながら、
その紺色の目を彼に向けたまま
軽く首を傾げた。
イヤリングがしゃらり、と音を立てる。
Aは、
彼が寄りかかっている壁の向かい側に
軽く寄りかかっており、
向かい合う形で話をしている。
彼らの頭上には月が美しく輝いており
その場を優しく照らしていた。
Aの確認の意での問いかけに、
彼は正解の意味で軽く頷く。
「あぁ、そうだ。
…貴様は、このウルクが
___滅びの運命にあるのを知っているか？」
彼はそう言いながら
その慧眼でAを見据える。
対するAは、
その言葉に驚いた様で
息を飲んだ。
『そんなん聞いてねぇぞ…!?
…だが、それにしちゃあ落ち着いてんな。
さてはアンタ、千里眼持ちか？』
Aは、
真剣な面持ちで言葉を発する。
対する彼は、
軽く笑ってから
落ち着いた声で話し始めた。
「まぁな。我は確かに…
"未来の全てを見通す眼"を持っている。
だが、落ち着いているのは
それが要因では無い。
…民の上に立つ者が、
不用意に焦りを見せてどうすると言うのだ？」
その回答に、
Aは満足した様に薄く笑う。
『…流石だな。
じゃあ、1つ質問させろ。
このウルクは…
____一体全体、"何"に滅ぼされるのか。』
彼はAからの問いを聞き、
軽く腕を組み直した。
「良いだろう、答えてやる。」
そこで彼は言葉を切り、
にやり、と口を歪ませた。
「__貴様の予想通りだ、"神殺しの槍兵"よ。
このウルクは…
"神"によって滅ぼされよう。」
それを聞いた瞬間、
Aの口は弧を描いた。
不敵な笑みでありながらも
どこか愉快そうに
どこか憎々しげに。
『へぇ、そうか…神か。
なら、俺以外の適任者は居ねぇよなぁ？』
その言葉に、彼も
「あぁ、その通りであろうな。」
と、賛同の意を示した。
Aは満足そうにふん、と笑うと
挑発的に笑いながら言葉を紡ぐ。
『…いいぜ、神を殺せるってんなら上等だ。
アンタに力を貸してやる。
だが、1つ条件だ。
…明日、俺にウルクを案内しろ。』
その意図を理解したのか
していないのか、
彼は軽く不敵に笑いながら
「良いだろう。
ならば今日の昼、ジグラットに来るが良い。」
と言い残して、
その場から素早く去っていった。
Aが顔を上げると
空が明るくなり始めていた。
彼が早急に立ち去ったのは
これが原因であろう。
Aは、美しいグラデーションの空を
真剣な眼差しで見つめていた。
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ヨル(プロフ) - もなかさん» 感想有難うございます〜！頑張りますね！ (2020年4月23日 1時) (
レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - すごいおもしろいです！！！更新頑張ってください！！ (2020年4月22日 15時) (レス) id: ba3cbcb107 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - ディアさん» 有難うございます〜！頑張りますね！(*^^*) (2020年4月16日 12時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
ディア - めちゃめちゃ面白いです！お話の続き楽しみにしてます！更新頑張って下さい！^ - ^ (2020年4月12日 22時) (レス) id: f4badc1d91 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 柚夜─YUYA─さん» 感想有難うございます！面白いと言って頂けて嬉しいです〜！更新頑張りますね！ (2020年4月9日 23時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑飴 | 作成日時：2020年1月26日 20時
