Ep.22 -不思議な気持ち- ページ28
藤丸目線
太陽は真ん中よりも少し水平線に近い。
丁度昼を超えたぐらいの時だ。
少し険しい山道を道なりに歩いていく。
マーリンが先頭で、
アナと喋りながら歩いている。
マシュは俺の後ろで歩いていて
フォウと戯れながらも、
周囲を警戒しているようだ。
黒髪の美青年のお兄さんは
俺の前を槍を肩に担ぎながら歩いている。
彼の目線は静かに
広がるバビロニアの大地を見ており
何を考えているのかまでは読み取れない。
「あ、あの…。」
俺はおずおずと、
少し近寄りづらい雰囲気を出す黒髪の美青年に
勇気を出して声を掛けた。
俺の呼びかけに
彼はこちらに顔を向けて
不思議そうに口を開く。
『んぁ？何だ。』
そんな彼に俺は
ずっと言いたかった事を言う。
「さ、さっきは助けてくれて有難う！
あとごめん…
俺、咄嗟の判断が遅れちゃって…。」
そう俺が言いにくそうに言うと、
彼は一瞬空けてから口を開いた。
『…いや、別に気にする事じゃねぇ。
それに…。』
そこで彼は一旦区切ると、
屈託なく笑い
俺の頭をがしがし撫でた。
『…素直に礼と謝罪が言える奴は
別に嫌いじゃねぇ。
…お前、名前何だっけ？』
自分はさっきの自己紹介の時間に
きちんと言った筈なのだが…。
自分の名前が覚えられていなかった事に
軽くショックを受けたが
それを堪えて苦笑いで名前を伝える。
「藤丸立香です、Aさん。」
そう言うと
彼は笑いながら口を開く。
『そういえばそうだったな。悪ぃ悪ぃ。
俺、興味が無い事はすぐ忘れちまうタチでな。』
結構グサグサと心に刺さる事を
あっけらかんと言ってくるな…。
なんて考えながら「はは…」と
乾いた笑いでその場をやり過ごすと、
彼から手を差し出された。
俺が不思議そうに彼の顔を見つめ返すと、
彼は綺麗に微笑みながら言葉を紡ぐ。
『じゃ、これから宜しく頼むぜ。リツカ。
…ほら、こういう時はやるモンだろ？握手。』
彼からのまさかの下名前呼びに
一瞬の間を置いてから、
耳まで赤くなった感覚がした。
そんな顔もそのままに、
「あっ、有難う！A！」
なんて言いながら、彼の手を取った。
彼の手は男らしく
傷だらけだったりするが
色が白く、綺麗なフォルムのせいなのか
やはり美しく見えた。
少し俺が手に見とれていると、
『あぁ。宜しくな、リツカ。』
その声と共に手はぱっ、と離された。
彼は振り返ると、
またさっさと歩き出した。
俺は風に煽られながら
暫く握手した自分の手を見つめていた
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ヨル(プロフ) - もなかさん» 感想有難うございます〜！頑張りますね！ (2020年4月23日 1時) (
レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - すごいおもしろいです！！！更新頑張ってください！！ (2020年4月22日 15時) (レス) id: ba3cbcb107 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - ディアさん» 有難うございます〜！頑張りますね！(*^^*) (2020年4月16日 12時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
ディア - めちゃめちゃ面白いです！お話の続き楽しみにしてます！更新頑張って下さい！^ - ^ (2020年4月12日 22時) (レス) id: f4badc1d91 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 柚夜─YUYA─さん» 感想有難うございます！面白いと言って頂けて嬉しいです〜！更新頑張りますね！ (2020年4月9日 23時) (レス) id: a8e58dbd43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑飴 | 作成日時：2020年1月26日 20時
