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ドタドタと廊下を走る
おとを立てた事なんてこの際気にしない



スパンッと障子がいい音を立てて開く



「久々知!...いない?」


部屋はシーンとしており、まさに人の気配がしない状態だ
ゆっくりと部屋へ入っていく
きちんと整頓されていて、ものの少ない部屋だ
殺風景さは感じるものの、綺麗な部屋に充分当てはまるだろう


この際だ、部屋で待っててやろうと、後ろ手で襖を閉めようとした
そう、閉めようとしたのだ


「...先輩。どうしたんですか?」


そこには、いつもと同じ笑顔で立っている久々知がいた
否、いつもと違うところが一つある



「...血の、血の匂いがする」


彼の笑顔がますます濃くなった気がする
彼は静かに襖を閉めると一歩づつ私の方へ詰め寄ってくる
一歩、一歩
私も後ずさっていくが、当たり前のように終わりは来る
トンッと背中が壁に当たったのがわかった



思わず顔を歪めた



「さすがA先輩。だてに六年生ではありませんね」



彼は、見るものが思わず見惚れてしまうような笑顔で続けた



「問題です、この血の匂いは誰のものでしょう…?」



妙に嬉しそうに、まるで純粋な子供の様な笑みを浮かべている
いつの間にか襖は閉められていて、立派な密室だ
そもその彼が目の前にいる時点で私が彼を出し抜けるわけがないのだけれど。



「わかんないですか?… じゃあヒントをあげます。

一、この人は、男です

二、この人は大きな商家です

………三、この人は貴方の未来の旦那様です」



すべての時間が止まった気がした



「…ぁ」


口からは意味のない間抜けな声が漏れる
会ったことのない人間だが、自分の旦那となる人だ
私に関わったばかりに亡くなってしまった彼には哀れさや申し訳なさが募る


しかし、なによりも怖かった
笑顔の彼が、血の匂いをまとわせた彼が、私の知らない彼が



「先輩、愛してるんです…貴方の全てを奪いたい程に」



けれど、きっと私は…………彼を拒めない

ぼ→←せ



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奈桜 - こういうのって凄く好きです! (2017年8月5日 20時) (レス) id: 31f66fea9b (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 文章の書き方や話の起承転結が分かりやすくてとても読みやすかったです。面白くて一気に読んじゃいましたww (2016年7月12日 7時) (レス) id: 2afd7876b1 (このIDを非表示/違反報告)
流琉 - 元エオです。名前変えました!この小説、何回読んでも面白いです……! (2016年4月6日 10時) (レス) id: 826410c70b (このIDを非表示/違反報告)
ふりかけカスタード - ヤンデレ最高だぞ…!!!凄くドキドキしました! (2016年4月2日 17時) (レス) id: 6cb576d6d9 (このIDを非表示/違反報告)
荊姫 - エオさん» ありがとうございます! (2016年1月10日 0時) (レス) id: 29760536d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:荊姫 | 作成日時:2015年9月26日 16時

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