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「角名先輩ですよね。1号棟に来るだなんて珍しい…。…そちらの方々はお友達ですか？」
「オトモダチじゃないよ。こいつらアンタに用があるんだって」
彼女の目線がこちらに向く。
その時初めて、彼女が天女でも妖かしでもなく、自分たちが探していた四ノ宮Aだということに気づいた。
加えて、数秒間呼吸が止まっていたことに驚く。
銀島の喉がヒュッと鳴った。
Aはそれを知らずに彼らを見る。
彼らもAを見る。
「こんにちは、私になにか御用ですか？」
彼女はニコッと笑った。
均等で均一で、お人形さんがするような完璧な笑顔だった。
誰かの胸がドッと鳴ったような気がした。
銀島はハッとして小さく頭を下げる。
宮兄弟も続けて挨拶をすると、落ちつきなく目をそらした。
そうして首を擦ったり腕を組んだりして、なかなか話を切り出さなかった。
緊張しているからだ。
そばに寄ったのに何を話して良いか分からないなんて生まれて初めてだった。
「角名先輩、お三方、固まってしまいました」
「あーうん。無理もないかもね」
「出直してくるよ」と角名が言おうとした瞬間、
侑が治の袖を掴み、「なぁ！」と声を張り上げた。
「アンタ、‥アンタ北さんの彼女なん！？」
「えっ」
彼女の猫のようなツリ目が大きく開かれる。
「あの、彼女って…」
「いや！やっぱ言わんでええ！
こんなええお嬢さんがそばにおって口説かんほど北さんは廃れてないわ！」
「ちょっと」
「そんでもな、北さんは俺らの主将でもあんねん！」
「そうじゃなくて、後ろ」
「北さん泣かしたら「俺を泣かしたら？」」
「俺を泣かしたら、なんやねん」
侑はギギギと後ろを振り向く。
いつの間にか、そこには北が立っていた。
北は不気味なほど穏やかだった。
ただ、いつものように腕を組んで立っているだけだというのに、寒気がするほどの威圧感があった。
彼はAを見て、角名と治と銀島を見て、最後に侑を見た。
そうしてスッと目を細める。液体窒素よりも冷たい眼差しだった。
「「………」」
バレー部2年の男たちは誰に言われるでもなく、黙って正座をした。
角名は遠い目で北の足元に伸びる巨大な影を見つめた。
ｰｰｰあぁ、とんだとばっちりを食らった、と。
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星兎う次 - 初めましてー！星兎（ほしうさ)です！次のお話楽しみすぎます！頑張ってください (2022年3月29日 14時) (
レス) @page37 id: f37909bd7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ - 面白いですね！ (2021年12月24日 17時) (レス) @page26 id: 0c84fcb925 (このIDを非表示/違反報告)
naonao(プロフ) - 続きみたいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい (2021年12月11日 20時) (レス) @page26 id: 89bf261545 (このIDを非表示/違反報告)
とも - めちゃくちゃ面白いです!文の表現の仕方も好きです!更新楽しみにしてます！ (2021年11月15日 2時) (レス) @page26 id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
空白 - 返信遅れました。ありがとうございます！とっても励みになります〜！これからも頑張りますね (2021年11月6日 9時) (レス) id: de4d0642cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空白 | 作成日時：2021年10月27日 15時
