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五十八訓 ページ10





「ヅラじゃない!桂だ!

良かった、無事だったんだな。」


『無事?』


「リーダーや新八君に聞いたんだ。


最近お前が行方不明となっていて、

もしかするとこの船にいるかもしれないとな。」



『そっか。そしたら、あとでお礼言わんばなぁ。』



でも、今は…………




「いつから違った、俺たちの道は。」



「フッ…何を言ってやがる。

確かに始まりこそ同じ場所だったかもしれねェ。


だが、あの頃から俺達は同じ場所など見ちゃいめー

どいつもこいつも好き勝手、

てんでバラバラの方角を見て生きていたじゃねーか。


俺はあの頃と何も変わっちゃいねー

俺の見ているモンはあの頃と何も変わっちゃいねー」



晋助の言葉をうちとヅラは黙って聞くしかなかった



「俺達に刀の使い方、武士の道、生きる術を

教えてくれたのは誰だ?


俺達に生きる世界を与えてくれたのは

まぎれもねェ……………………松陽先生だ。


なのにこの世界は俺達からあの人を奪った。


だったらこの世界に喧嘩売るしかあるめェ。


この世界をブッ潰すしかあるめーよ。



ヅラ、A、お前達はこの世界に

何を思って生きる?


どうして享受しのうのうと生きていける?


俺はそいつが腹立たしくてならねェ。」



「高杉……俺とて何度この世界を

更地に変えてやろうかと思ったかしれぬ。


だが、アイツが……それに耐えているのだ。


銀時(やつ)が……一番この世界を

憎んでいるはずの銀時(やつ)

耐えているのに

俺達に何ができる。


俺にはもうこの国は壊せん。

江戸(ここ)には大事なものができすぎた。


この国が気にくわぬなら壊せばいい。


だが、江戸(ここ)に住まう人々ごと

破壊しかねん貴様のやり方は黙って見てられぬ。」



『ヅラの言う通りだよ、

この国を変える方法ならいっぱいあるはずやけん。


松陽先生もきっとそれば望んどるは』


「キヒヒ桂だァ」

「こっちは女だぜ」


『「!?」』


突如屋根から声が聞こえた


同時に上を見れば……




『あ、天人…、』

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作者名:睡眠足りない布団好き女子 | 作成日時:2021年2月7日 21時

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