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窓を閉めようとしていた手が止まる。
顔を上げると苦笑いをしている永瀬と目が合う。
あ、私また永瀬って言ってる。
………コレはあの時染み付いた癖だよ。
私がいじめられてた時、永瀬は私以外の女の子に名前を呼ばせなかった。勿論、私も廉以外には名前呼びされたことはなかった。
これは小さい頃から�獸櫚瓩修Ω世辰燭蘿�られてるようだけど、自然とそうなっていたのだ。
だけど、やっぱりそれもアノコタチには許されなくて廉、なんて言ったら罵られる
だから永瀬になった。
今もそれが抜けない
なんて言えない。
やっぱり私は踏み込めない。
ギュッと手を握る。
「…なんとなくだよ。みんなそう呼ぶでしょ？だから。」
「…ふーん。」
目を逸らすように横を向いた永瀬。
あ、そういえば、平野先輩の言ってたこと、
ふと過ぎる平野先輩が呟いた一言。
「…知り合い。」
「ん？」
小さく呟いたつもりだったのに静寂な夜の住宅街では聞こえるようだ。
「え、あ、えっと、平野、先輩といつ知り合ったの？」
「…紫耀？」
「うん、」
下唇をぐっと噛むようにして永瀬が遠くを見る。
「紫耀は俺が中2のときかな、仲良くさせてもらってた先輩が紹介してくれて、仲良うなったって感じ。」
「……中2、か」
中2の冬までは私達の仲は壊れていない。
それ迄に永瀬が平野先輩と仲良かったら私も話を聞いてるはず。
じゃあ、私達の仲が壊れてからすぐ？
私が平野先輩と昔からの知り合い？
頭が混乱する。
平野先輩並の顔だったら印象に強く残るはず。
でも、幾ら記憶を辿っても居ない。
「なんかあったん？」
「いや、別に、…なんとなく気になっただけ。」
「そっか。仲ええもんな、」
「仲良くは無いよ。」
「仲いいやろ、屋上で毎日喋ってるやん」
「なんで知ってるん、見てたの？」
「……」
風が私達の髪を揺らす。
「…平野先輩はね、変わってる。
自分で永瀬と似てるって言ってたけど全然似てないよ。性格だって、顔のタイプだって違うもん。」
「前にね、私達の関係を平野先輩に聞かれたことがあったの。だから私、先輩と後輩です。って言った。」
「そう言わなきゃ、って脳が応えた。
先輩の何もかも透き通す眼が怖かった。」
「…A？」
「私、わかんない。」
廉がじっと私の目を見つめる。
なんで私、こんな話廉にしてるの、
「…なんで泣いてるん？」
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作者名：麗夢 | 作成日時：2018年7月20日 14時
