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「…アホですよね。私。結局、楽しかったのは表だけで心の中ではずっと廉がいて。」
先輩に、今までのことを話した。
堪えきれなかった涙が流れて落ちていく。
「…ずっと想ってんのは廉、ってこと？」
先輩は閉じていた口を開いてそう言った。
「ん〜、ちょっと違うかもしれません。
よく分からないんです。この感情。罪悪感なのか、執着心なのか、恋心なのかも。」
「関係を潰したのは私だし、前のように戻りたい、とか高望みはしてません。
ただ、笑って気兼ねなく話せる関係になりたい…、今のままじゃダメな気がして。今の廉も私が知ってる廉じゃないなって思ってたのに。それを壊してくる廉に踏み出せない私が憎くて。」
あれは廉が私にやり直すきっかけを設けてくれたのだと勝手に解釈している。
幼馴染、として。
廉は優しいから、優しいけど不器用だから。
頭を撫でてくれている平野先輩を見る。
そこはかとなく、表情を浮かべる先輩は私は、苦手だ。
私には理解らない眼をしている。
でも、
「平野先輩に出会って、ちょっとしか経ってないのに踏み出してる自分が居て、不思議な気持ちになるんですよね。なんか、昔から知り合いだったような、そんな感じ。懐かしい感じにさせてもらえるんですよね。」
「……そっか。そんな感じにさせる俺。天才かもしれんな。」
ふは、と笑う先輩。
そして、私のことを強く抱きしめる。
「ちょ、っ！先輩…！？」
首に回る腕に。いつもの冗談で〜、みたいなのは感じられなくて、遠くで花火が始まるアナウンスも、私達の耳には聞こえてくるのに。
「…なぁ、A、俺ら昔から知り合いやったって言ったらどうする？」
なんで花火の音は聞こえないの？
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作者名：麗夢 | 作成日時：2018年7月20日 14時
