誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに (ページ44)

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21.その行動の真意ページ44

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本当はコインランドリーに出そうかと思ったけど、盗られる可能性を加味して自宅の洗濯機で洗うことにした。

変にこだわるよりも、いつもの洗剤と柔軟剤を使ってお返しした方が良いかもしれない。逆に高いのを使って生地をダメにしたら元も子もないし。

タオルを広げてみる。稽古場では気が付かなかったけど、どうやら過去のライブで販売していたグッズっぽい。
その証拠にライブ名とグループ名がしっかり記されている。

やっぱりアイドルなんだな。

当たり前だけど、それでも再び実感してしまう。ちょっと前の私じゃ考えられなかったことだ。
アイドルとの共演も、共演者との連絡先交換も。

そういえば金城さんが何か送るって言ってたな。

慌ててスマホを開くと、『新着メッセージが1件』の表示。何やら不思議なスタンプが送られてきていた。

何というか……普段目にすることはないキャラクターだ。初めてみる。何だこれ。お辞儀してるのか？

女優さんたちの間で流行っているのかも？

返答に迷ったが、当たり障りのない『よろしくお願いします、枡川です』というメッセージを送っておく。

その瞬間着信音が鳴り始めた。
相手は今返答メッセージを送った、あのひと。

少し緊張しながら、震える指で応答ボタンを押した。

「もしもし？」

『あ、枡川さんですか？お疲れ様です、金城です』

「お疲れ様です……えっと、どうかしましたか？」

『いえ、トーク画面見てたら既読になったので、ちょっとかけてみました。迷惑でしたか？』

「とんでもないです！特段作業してたわけじゃないので。ありがとうございます」

『何かはされてたってことですか？』

おおう、さすが鋭い。
作業＝仕事っていうのは、あちらでも共通なんだな。

「洗濯ですよ、今日借りたやつ」

『…………ああ、あれですか』

一気にテンションが下がったのが伝わった。声のトーンが低くなってる。

「あからさまですね……」

『今日色々話してしまいましたし、今更隠す必要もないかなと。続けてください』

「あ、はい。……えっと、結局どう洗うのが良いかなと思って」

『んん〜……。まあ柔軟剤を入れすぎないほうが良いとは聞いたことあります、知らないですけど』

「へえ、そうなんですか。勉強になります」

ってことは、気持ち総量より少なめでボタン押しちゃえば良いのか。なるほど。

人のものを洗うなんて初めてだから、こういうとき第三者の意見を聞けるのは嬉しい。

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