誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに (ページ41)

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20.無知と情報ページ41

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場所を移動し、マネージャーさんとご飯屋さんに入る。

ソファーがふかふかだし、そこまで堅苦しくない雰囲気。さすが都会の中心部。
こんな素敵なところ、私の家の近所には無い。

マネージャーさんは慣れているのか、店員さんを呼びテキパキと私の分まで注文を伝えてく。

もちろん私は初めての場所だし、見たことない料理だらけだし、リードしてくれるのはありがたい。

店員さんが去った後、マネージャーさんは手帳と資料を取り出した。

「稽古お疲れ様。慣れた？」

「正直、着いて行くので精一杯です」

「そっか。でも慣れてくるよ。それにほら、連絡先交換してたでしょ？」

金城さんのことか。
ちゃんと話し始めた日に交換するとは思わなかった。というかそもそも私自身、今回共演する人とは交換するつもりがなかったし。

とはいえ私が気づかないところでグループが作られてたりしてるのかな。だとしたらそれはそれで複雑な気持ちだ。

「……今日初めてちゃんと話したんですけど、すごく良い人です」

「演技面としてはどう？」

「さすがとしか言いようがないですね。私に無いものを持っていますし、羨ましい限りです」

「……そう。こういう機会だし盗めると良いね」

「はい」

目を見張るほどの演技力。
あれを自分のものにできたらどれだけ良いか。手に入れられたらかなり強いと思う。

本当に。欲しくて仕方がない。

「疲れてるところ申し訳ないんだけど、今日呼んだのは今後のことね」

マネージャーさんの声ではっと意識を戻す。そうだ、今の目的は打ち合わせ。

「あっちで聞いたんだけど、オーディション受けるんでしょ？」

「はい。録音提出して、スタジオオーディション。受かったら3ヶ月後にアフレコが始まるみたいです」

「オッケー。その辺の稽古スケジュールは未定だけど、仮押さえしとくね」

「ありがとうございます」

「録音って事務所でやるの？」

「はい、会議室にマイク置いて、って感じです」

「へえ、時間合ったら見に行きたいね」

「……見られるのは恥ずかしいですね」

同業者に見られるのだって恥ずかしいのに、事務所というホームで知り合いが多数いるとなると余計恥ずかしさが増す。……本当に何で役者やってるんだろうと不思議になるレベル。

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