その少女、生徒会長につき (ページ48)

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小さな抗いページ48

城門が開いた後、空から地へ降りた針矢の案内で、私達はゴッドエデン内部を歩いていた。
スタジアムへはオートウォークを通じ移動。
中は変わらず薄暗く、まるで少年達を誘うかの道筋だ。
何故ならば、光は明滅して彼等の行き先が明確に示され、下手しようが脇に逸れるルートはない。
何気に目を据えると左から喝道(かつどう)が上がった。

静乱(監視カメラも訓練内容も恒常的(コンスタント)か。)

そんな事を思いつつ通路脇のガラス窓を見遣る。
同じタイミングで松風くんも窓の内側を見、他の面々に見るよう促す。

眼下には訓練場があり、室内に置かれている物は大砲。その中には鉄で造られた球が幾つか入る。
彼処はシード候補生を全面的に鍛える場所だ。
派遣された当時の私は試しに一度だけ、己の力量を確かめる為に大砲から放たれる鉄球を受けた。
苦戦するだろうと秘かに感じていた。しかしそんな事なかった。
訳はやはり…先生の指導の下で神経を鍛えたからか、案の定悠々と蹴り返せた。それはあの３人も例外じゃない。

巧まずして雷門イレブンの顔色を窺う。少年達だけじゃなく、大人組までも一様に険しい表情だ。
場に纏う雰囲気の気味悪さ、自身に当たる土壇場で受ける恐ろしさ、過酷さ…。此れ等を私と針矢以外の全員が感じ取った。……こんなトコだろうな。

そして私は胸中呟いた。
フィフスセクターは敢えて(･･･)この光景を雷門イレブンに見せたと。此れから行われる試合で雷門が敗れれば、この過酷な鍛練を受けさせる…と云う脅しだと。

静乱(ほんと悪趣味…。)

なにやら訴える眼差しを感じ、視程範囲を広げる。
目に見える範囲に針矢が入った。
私の意識が自分に向いたと認識した針矢は口を開き、此方へ向かって喋ろうとする。
これ以上任務に支障を来したくないワタシは殺気を控えめに放つ。
そうしたら私の心境を汲み取ったのか、針矢は咳払いを一つして、訓練の回避法を通告する。

針矢「まぁ兎も角、敗北は逃れるんだね。」

やがて私は別行動の為に彼等と分かれ、針矢と共にあの人の許へ足を運んだ。