その少女、生徒会長につき (ページ43)

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抱いてしまった感覚ページ43

孤島に来て二日目。
昼飯を終えた一行と静乱は、先日下見へ訪れた数々の特訓場所へ足を運ぼうとしていた。
その前に森へ行くようだ。

松風「円堂監督！特訓を始めましょう！！」

静乱「やけに張り切ってる…？」

ボソッと先輩が零した疑問を拾い、探索中に遭った出来事を俺は先輩に話す。

森の使用許可を得る為、自分達の所有する森だと言う奴等と試合を行ったこと。その最中でヤギが乱入したこと。
そのヤギにボールが当たる土壇場だったものの、天馬クンが必殺技を使って衝突を未然に防いだこと。
最終的にはシュウと名乗った異様な奴から「この森を自由に使って良い」と承認されたこと。

此れ等を話したら、先輩に試合相手のチーム名について質問された。
エンシャントダークってチーム名を言った途端、先輩が漂わす空気に変化が生じた。……気がする。
どうやら先輩の右隣に居る吹雪さんも感じたみたいだ。

吹雪「静乱ちゃん？もしかして、知ってるの？」

静乱「……えぇ。」

吹雪さんが声を潜めて尋ねると、先輩は言葉と共に相槌で肯定した。
それと同時に、俺と吹雪さんになら話しても…、って先輩が言ってくれた。
幸い俺等３人は他との距離は開けてるから、話の内容を聞かれる心配は要らないでしょ？

静乱「チームではなく少年の方ですが…。元シードさんの彼から、私が滞在していた件はお聞きになりましたか？」

狩屋/吹雪「はい。/ぅん。」

静乱「私は或る日の休息時、海を一望出来る崖へ行きました。そこで彼…シュウと云う少年と対面しました。大して語りはしてませんが、共に海を眺めては対人パスを行いましたね。けれど帰省日、当日…彼の姿を視る事は出来なかったです。」

先輩はその当日の顛末を語った。
濁した部分も有りはしたが、時折俺と吹雪さんへの確認を挟みながら。

吹雪「会えるといいね？今回も。」

吹雪さんが優しい微笑みを向け喋り掛けたら、先輩はフードの先端を引っ張って目深に被る。
耳が少し朱くなってんのが見えた。と云う事は、照れ隠しのつもりだろうな…。
そう胸に知らない感覚を抱いた直後、シュウとの待ち合わせ場所である滝の見える崖に着いた。しかし其処には誰も居なかった。