その少女、生徒会長につき (ページ38)

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気休め程度のページ38

同時刻。

自分の口から発された言葉を思い出した私は後悔し、薄暗い灯台下の洞窟へやって来た。
少年達は今頃、朝方に知らされた三日後の試合に備え、特訓に移す為の行動を起こし始めていることだろう。
正確には…私が大人組と選手等を複数のグループに分裂し、其々で特訓を行える場を探索させているのだが。

サイレンと放送から５分後、マモ兄に「特訓に使えそうな場所はないか？」と訊かれた。
そんな事は薄々想定していたが故、大した間を開けずとも、事前に用意していた案が口からツラツラと紡がれていった。
島の大自然全体を特訓専用のトレーニング場とし、活用しては如何か？と。案の定これは採用。
そして冒頭から二段落目の指示権が私に一任されたのだ。とは言っても、私はマモ兄に戻るよう促し伝えさせたのだけれどね。

それから森へ行く前に一旦マモ兄が戻って来、見張りと云う名の留守番を頼まれた。
咄嗟に其の場凌ぎで承諾してしまった私。
しかし直ぐ様立ち直れない私は見張りを或る者に任せた。
こうボーッとしてる今も体を動かす皆さんを余所にひと息吐き、念の為に備えていた書籍を取り出す。
次いで表紙を開き、目次から本編の頁へ移ろうと手を添えた時……
一方的なあの試合風景が去来(きょらい)した。

静乱「実績、か…。」

確かに雷門からすれば、アンリミテッドシャイニングは強者でしょうね。
けれども格の違いを見せ付けられたから、と堕ちるチームじゃない。
恐らく知らないのだ。元シードさんをライバル視する彼も、遠くで観覧していた彼も。
窮地に追い込まれればられる程、必ずや特訓の成果を発揮する。それが雷門イレブンと云う存在。
彼等は旧時代からの雷門魂とやらを引き継いでいるのだから、尚の事。

静乱(ﾊｧ…落伍者(らくごしゃ)が板についてきたか。)

頭を振ることで雑念を追い払い、膝を抱え己の腕の中に顔を沈めて蹲る。
こうしてる内に余念は消化されてゆく為、詰めていた気が紛れ落ち着くのだ。私は暫くそうしてたい。
なのに、頭上から一癖ある喋り声が降ってきた。

「隣、いいッスか？」