その少女、生徒会長につき (ページ21)

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五つのサッカーボール／後編　※ ページ21

俺はボールで負った部分が疼痛するのを垣間見ず、フィフスセクターに属す奴等に触れられる前に立ち上がろうとした。
でも痛みの影響で足元が蹌踉(よろ)めいてしまう。
こんな俺の様子を察してか、直立を保てない俺を先輩は支えてくれ、同時にこう囁いた。

「5秒耐えろ。」

俺の体内時計が０に達した時、衝撃波を纏った五つのサッカーボールが突然にフィールドへ飛んできた。
そのボールは牙山って男の顔面をスレスレに掠り、此方に来ようとした男達や選手等を翻弄するかの様に大きく旋回。
そして地面に叩き突けられ、回転が掛かった五つのボールに依って砂煙は巻き上がってフィールド内を包んだ。

でも俺と先輩の所にはボールじゃなく、？マークが描かれたビックリ箱が頭上にて出現していた。
その箱の中からは3つの手が伸びてアンリミを牙山って男の元へ運んだ。
奇妙なことに空を浮かぶ人影が視えた気もしたけど、見なかったことにした。
……俺は霊感とか無縁なんで！！！

なんとか複数のボールと＋αを認識出来たものの…。
全身痛むし、いつ打ったのか判らないが酷く頭にズキズキと感覚が麻痺してく。
その所為かこれ以上の現状を窺える事は困難で、近くに居る筈なのに先輩の姿は縹緲(ひょうびょう)だ。
朦朧とする意識の中、フワッ…と体が浮かんだ感覚がした。
誰なのか認識出来ない今、何故だか恐怖心に襲われ震えてしまう俺。
今傍に居てくれてるのは唯一人だって知ってんのに…。
でも不思議とそんな蟠(わだかま)りとかは消えてった。

「眠っていいよ、マサキ。」

無理矢理にでも堪えていた意識が暗闇へと堕ちる前、透明感のある澄んだ優しい声が俺の名前を呼んだ。
まるでその声に応えるよう、俺は意識と体重を抱える人に委ねた。