重なり想うイマージュ (ページ9)

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『其処の書記官くん。確認なのだけど…答えてくれるかい？』
「ぇ…？！あっ、はい！」

　書記官の彼に確認を行ったところ、やはり魔法使いが戦う認識で正しかった。ん？何故敢えて下の者を選んだか…ね。単純な理由さ。僕は先の陳述に影響を受け大臣を天敵候補(リスト)に追加したから。

「魔法使いは何故か、決まって昔から、異界からやって来た賢者の言う事しか聞かないのですよ。」

　困り果てた様を露わにする大臣。遠回しに魔法使いの扱いに苦労していると、此方に思い知らせる口振りで。あからさまな態度に情けを抱いてしまう。
　賢者の言う事のみ聞く。程ならば、魔法使いにとって賢者は唯一、自分達を敵対視しない人間故だろう。同時に助言者で忠誠を誓う存在。……確かにね。
　嬲りや差別云々しか脳のない人間以上に、選ばれし他所者な賢者が魔法使い達へ、計り知れない程の影響を大きく与えて当然。ふむ。力ある者を嫌う側の選ぶ手段が非道になってしまう訳の一つだ。

『おや…何の真似かな。』

　賢者と人間の差について思考を巡らせていた。故か気付けば、沢山の兵隊は脅しを掛けるように周りを囲んでいた。そして鞘から刃物の身(ブレード)を出し抜剣に備える兵士達。チラ。と書記官の青年を窺うと、彼が大臣へ現状の意義を申し立てる声が聴こえた。やっぱ見込みあり。
　余所に。魔法使いが此処へ向かっている、と云う理不尽な経緯で初対面の者に武器を向けた事実が、僕の怒り心頭を刻一刻と迫らせる。
　残りひと糸と理性が切れる寸前、窓の外から2つの人影を視界に捉えた。