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20話〜覚悟のなき神〜 ページ21

黒服の男は
ふっと鼻で笑った。


しかし何も言わずに
セルピンから遠ざかり
俺の目の前にやってきた。


びっくりしたけれど
これもそれで運命なのだろう。

何がともあれ
こんなにゆっくりしている場合ではない。


せかせかと焦っていたけれど
何を話せばいいか分からなかった。



この沈黙を破るかのように
後ろに立っていたハミネスが
震える唇でしゃべり始める。


「ほ、本当……なのか?
本当……にAの……く、クローンなのか?」


弱々しいその声は
今にも消えそうで
黒服の男を疑っているようにも思えた。


だが黒服の男は
否定も肯定もせず
無言をずっとし続けている。


表情も見えず
何を感じているかもわからないまま
彼をずっと息を殺しながら凝視している。



だがそれもつかの間。
彼は後ろを振り向き
セルピンの方を見ながら
こう述べたのだ。
いつもよりゆっくりとした口調で。


「俺は分からない。自分が誰なのかを。
唯一分かるのは
我々を生み出したのが
A・シェーロという人物ということだけ。
あとはもう何も知らない」


「ど、どういうことですか……?」


後ろにいたカーズが申し訳なさそうに
もごもごと口ごもった声で喋った。


それに答えるかのように
黒服の男はカーズの方を見ていたが
どうやら赤い目で威嚇しているようだ。
俺にはそう感じられる。


「いや、なんでもない。
少々口が滑ってしまった。
君は俺がAの分身だと思うか?」


カーズはその言葉に
肯定していた。


俺もそう思ったけれど
あの天使はいったい
なんだったのだろうか。


本当に名もなき花に宿る
妖精だったのだろうか。


まあそれはともかく
俺は覚悟している。


こいつがもし俺のクローンならば
倒してみせると。

21話〜矛盾〜→←19.5話〜天使の翼〜



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設定タグ:ファンタジー , 男主 , 名前変換オリジナル   
作品ジャンル:SF, オリジナル作品
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うららk - 狐里雪乃さん» あのイベントは消したのですか……。知りませんでした。この話のオチは驚くと思いますが、最後まで見てくださると嬉しいです。あなたの作品もいつか見にいきますね! (2017年11月8日 10時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
狐里雪乃(プロフ) - コメント失礼致します。先日はご参加ありがとうございます。実はイベントの方を削除致しまして、そのお詫びに参りましたm(__)mですが折角なのでゆっくりと作品の方、拝見させて頂きます。 (2017年11月8日 9時) (レス) id: e23e1413a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:心の雨と虹の空(元うららk) | 作者ホームページ:ないよー!  
作成日時:2017年11月2日 13時

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