#黒の時代《前哨戦》 ページ15
願いを叶える異能なんて、人智を超えるどころでは済まない話になる。
万が一組織外に露見したら次々に抗争が起こりかねないどころか最悪の場合世界をも巻き込む大戦にもなり得る。
天下のポートマフィアと云えども世界を相手に出来る程ではない。
だからといって他組織に渡すわけには行かない。
要するに守り切る自信も手放す勇気もないのだ。
きっと森さんはあの子の異能力を識っていたのだろう。それで居て「守る」方に舵を切った。
確かに、利用出来るだけ利用した方が合理的だ。然しそれは常に爆弾を抱える事と同意義。
なら、爆発を抑えればいい
そう云う発想に至るのは合理を掲げる森さんにとって何ら不思議のない事だ。
だから先ず救済した。
まるで友達の様な関係を、先刻築いてきた。
実際には主従関係に酷似しているのだけれども
ポートマフィアはあの子を守る
守る為に
与えて
壊して
狂わせていく
此処ではよくある事で、不思議のない事
其の時は、違和感も憐れみも
何も感じやしなかったのだ
戸籍という名の名札を与えて
「黒原A、今日から君は黒原Aだよ」
先ずは「餌」を与えた
「君の異能力の発動条件を調べたのだけれどもね
とても面白い事が判ったのだよ！
更に云うと君は普通の食事があまり摂れないそうじゃないか
でも君は死体置き場で生きていられた
そこから推察してみたのだけれどもね…
君の異能力の発動条件は
人肉を食す事
きっと今まで、無意識に喰べていたのだろうね？
さあ召し上がれ」
食事という名の拷問を始めよう
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作者名：ウーロンの悲劇(Gavel) | 作成日時：2016年12月5日 21時
