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今日は二棟のビルヂングを破壊し
裏切り者を血祭りにあげた。
後は帰って報告書を書いて、寝るだけだ。
ッて思ッていたら追加で任務、と言うか損な役回り。
お姫様の迎えだ
若干苛々し乍ら愛車を疾走らせる。
迎えッてのも気に喰わねェが行先があの青鯖野郎の処ッていうほうがもっと気に喰わねェ。
__太宰には、会ッて欲しく無い
彼奴が、Aが
光を見出さないように
光に充てられないように__
Aは闇でしか憩えぬ華だ
光にあたれば、直ぐに萎れて仕舞う様な
否、下手したら死ぬ位
彼奴は光に向かない
だから闇に潜める必要がある
今回は仕方が無く探偵社ヘ行かせたのだろう
普通なら、陽のあたる場所に独りでなんて行かせる事は無い
迎えに俺を指名したのも、Aの
…Aに普通の幸せを歩ませてはいけない
希望も夢も
何一つ与えてはいけない
血と肉だけを与え
理性を壊し
狂わせ
洗脳した
之は首領の意向
無垢な華が闇に染まりゆく瞬間を
未だ幼い俺は只々見ていた
…今も只々、
幼き日の、避けられぬ後悔と哀しみを
恋情を孕んだ今も
ずっと抱えてる
車を探偵社近くの路上に駐めてビルヂングを見上げた。
窓枠に視えた黒いドレス
「A!」
揺れた。心が、身体が
重力操作で探偵社の階迄跳び
窓を叩き割りAの身体を抱き寄せそのまま落下した。
俄に血の匂いがして、食事が済んだ後か、と推察する。
「中也？ どうして此処に…」
突然の出来事に困惑しているA
「手前の迎えだ、疾く乗れ」
そう無愛想に云えば、直ぐに察して助手席に乗った
俺も運転席に乗り、ハンドルを握りポートマフィアへの帰路を辿った
…
落下する時
僅か数秒にも満たないような、走馬灯も追い付かないような時間
太宰と目が合った
何かを確信した様に、意味ありげに、笑っていた
「ねぇ、中也
太宰がね、あの黒い太宰がね
とても、眩しかったの___」
ああ、そうか
太宰はきっと手前を__
其の意味が判ってしまった
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作者名：ウーロンの悲劇(Gavel) | 作成日時：2016年12月5日 21時
