お助けできるのは、ここまでのようです ページ17
.
「……頼む！！……正気に戻ってくれっ！！っA！！」
しかし、いつまで経っても、痛みは訪れなかった。
Aはただ、牙を首筋に当てたまま、じっとしている。
「……A？」
その時、
突如、ロボロは自分の体内でガラスが砕け散るような音がしたのを、
確かに聞いた。
Aは、
傷をつけないように牙をそっと離し、ロボロを解放した。
数歩、後ろへ下がる。
ロボロは不意に、
自分の中に魔力の流れが戻っている事に気付く。
簡単な発火の呪文を唱えると、指先に小さな火が灯った。
「呪いが、解けてる！？………A！！お前が、やってくれたんか！？」
一瞬でも、食われるのではないかと疑ったことが恥ずかしい。
やはり、Aは優しい獣で、自分の味方だったのだ。
礼を言おうと視線を向けると、
そこでは、
Aが苦しげに暴れ、もがいていた。
「A！？どうしたんや！？」
駆け寄ろうにも、あの巨体で暴れられては、近付くこともできない。
抜け落ちた羽が辺りに舞い、
苦しげな唸り声が森に響く。
「どうしたん！？苦しいんか！？……まさか、俺のせい！？」
ふと、視界が翳る。
空を見上げると、満月は天辺を通り過ぎ、僅かに雲が覆っていた。
一際苦しそうな咆哮が轟き、
数メートル先でAがぱたりと地に倒れる。
慌てて駆け寄り、体を揺する。
「A、しっかりしろ！！」
さっきまで光り輝いていた毛並みはくすみ、
羽は疎らだった。
そして、ロボロの手の中でAの身体は見る見るうちに痩せ細っていく。
翼が縮み、
牙も小さくなり、
立派だった角は、木が枯れるようにしおれ、
ついには抜け落ちた。
「うそやろ……！！何が起きてるんや！？」
Aの身体は、ついに全体的に縮み始め、
形を変えていく。
このまま消えてしまいそうな不安に駆られ、
ロボロはAの体を抱き寄せる。
しかし、Aの体は完全に消えはせず、
ロボロの腕に収まるくらいの大きさで縮小を止めた。
すっかり姿を変えたAに、ロボロは言葉を失う。
「…………A？」
「ﾌﾟｷﾞｯ」
ロボロの腕の中で、愛らしい子豚が返事をした。
〜*〜*〜*〜*〜
人間に戻ってハッピーエンドだと思った？
残念、お話はもう少し続きます。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 456人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちもち - rbr「火力不足だ、出直せ」 め、名言来ちゃ〜!!! もう作者様愛してます！！だいちゅｋ(((( 続編に期待してもいいスカ⁈ (2023年2月21日 22時) (
レス) @page38 id: 057b0a6fab (このIDを非表示/違反報告)
krn🦒 - ガナッシュs2さん» お好きなんですよぉ〜！()ガナッシュs2さんやっぱ書き方お上手ですね！ほんと読んでて面白いです！好きですありがとうございます！！！ (2022年9月26日 8時) (レス) id: f85e9a6557 (このIDを非表示/違反報告)
ガナッシュs2(プロフ) - krn🦒さん» 気付いてしまいましたかっ……！！てか、ｄ！もお好きだったんですね！！そうか、ああ、運命！！なるほど…！！ (2022年9月25日 0時) (レス) id: 1465e56711 (このIDを非表示/違反報告)
krn🦒 - あぁ…この神作品ってガナッシュs2さんのやったんですね！なんだぁ…そっかぁ！！…………えぇ？？マジですか？？ちょっと前にパソコンで見てて(これはスマホです)「わっ！これめっちゃおもしろ！！好きｯｯ！！」ってなってたんですけど…？？なるほど運命か() (2022年9月22日 14時) (レス) id: f85e9a6557 (このIDを非表示/違反報告)
ガナッシュs2(プロフ) - このページ開くと、「転生したら邪神の生贄になってた」「転生したら動物になってた」っていう漫画の広告が表示される……w (2022年9月5日 15時) (レス) id: 4fe2c19fa1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ganaches2 | 作成日時：2021年11月4日 4時
