出勝短編集

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君と重ねるページ3

「わーっ!! 」

今朝、かっちゃんが花見に行こうと言い出した。普段そんなことを言わない彼から誘ってもらって、僕はなんだか嬉しかった。車の窓から見た景色は、桜が満開で、花びらが吹雪の様に舞っていた。いつの間にかそれを、隣に居る同居人と重ねていたんだ。

「綺麗だなぁ」
「 ...キメェ」
「えぇ、なんでだよ」

そんなこんなで軽く会話をしていると、直ぐに広場に着いた。僕は、かっちゃんお手製のお弁当と自分の荷物を持って車からおりる。かっちゃんがおりるのを待っていると、

「あ!デクとダイナマイトだ!! 」
「こんにちは、」

ぎこちない笑顔を見せる。

「大・爆・殺・神ダイナマイトだわ!! 」

相変わらずだなぁ...

子供が戻るのを見届ける。

「おい、行くぞ」
「あ、うん! 」

何処を見ても桜、桜...全てが薄いピンク色に染まっていて、今年はこんな景色が見れてよかったとさえ思った。

「何年ぶりだろ、お花見なんて」
「あ″?去年もし...てねぇな」
「最近は忙しかったからなー」

「あ、この玉子焼き美味しい」
「ったりめーだろ、全部旨いわ」

他愛ない話をしながら、お弁当を食べる。ヒーローだって、以外と庶民的なのだ。

「来年も、君と来れたら良いなぁ... 」
「んだよ、俺限定かよ」

にへ、と笑う彼が、再び桜と重なる。

「 ...綺麗だね、」
「そーかもな」

そんな返事を君がしてくれる、今の幸せを噛み締めながら、今日も頑張ろうと思った。