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「(ま、
あいつ自身に花持たせる展開になったって、よかったんだけどなー…あとの祭りか…)」
「棗なりにあれで喜んでるんだから、いいんじゃないかー」
いつの間にか隣に立っていた璃音は呟く。何も言っていないはずなのに、思っていた事がバレていたようだ。
「ったく、察し良すぎ」
「なんの事かなー。さーて最下位も決まったことだし、俺も今日の主役にプレゼント渡してこよーと」
いつもの笑い声、にぎやかな音を聞きながら、壁に寄りかかる棗に近づいた。
「なーつーめーくーん。
俺からのプレゼントあーげーる☆」
「…いらね、きもちわりぃ」
「え──酷いな──俺からはペロペロキャンディだよ」
「…キモイ、寄るな」
「照れるなってー。とりあえずこれでキスの練習をしてAとのキスを最高のモノにしろよ！」
「……死ね、」
「…ん？なになに？
もう一段階上の事がしたいから、そういう方が良い？」
「…はあー、」
璃音は悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
「……ほれ」
「……雪？」
「当ったりー、綺麗だろー」
「アリス使ってんのか？」
「当然、プレゼントつったろ」
笑う彼に釣られるように、棗も静かに笑った。
「バーカ」
「カッコいいと言え」
「かっこつけ」
「うるせー」
しんしんと静かに雪が降ってきて、キラキラとした笑みを浮かべるAは空を見上げて声を上げた。
「わぁ…っ！雪っ、綺麗…っ！」
「雪だるま作らなっ！あ、みんなで雪合戦しよー！」
「そんなに雪ねえーよ、今降ったばっかだろ」
「積もればいいんだろー、ほれ」
「へっ？」
璃音が指を鳴らしたその瞬間、蜜柑達の頭上からは有り得ない程の雪の固まりが降り、一瞬にして雪が積もる｡
「蜜柑が、雪だるまにっ、」
「何すんねんっ、璃音！！」
「蜜柑だるま完成っと」
──これ以上、守るものを増やさないことだな
──このまま
このまま時間が止まってしまえばいいのに…
騒いでいる皆を見ながら、親友から貰った砂時計を握り締めて棗は静かに願った。
Aから貰ったもう１つのプレゼント。殻になったのにペットボトルは捨てられていなかった。
“
そのペットボトルには彼女の思いが詰まっていたから。飲んだ者にしか分からない。
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作者名：未来 | 作成日時：2022年11月24日 13時
