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「…あのっ、璃音くん、踊るんじゃないの？」
誘われたから、皆が踊っているホールでダンスするって思ってた。こっちを見ない璃音くんに凄く不安になる。
そういえば、クリスマス準備の時、あたしは璃音くんを怒らせちゃったんだ。謝らなきゃ。
「…り、璃音くんっ、ごめんなさいっ、」
「…それは何に対しての謝罪？」
言葉を発したら、あたしの方を振り返った璃音くん。何だろう。今日の璃音くんは、怖い。
「ねえ、何に対しての謝罪？」
「…っ」
あたしは怖くなって後ろに下がった。一歩一歩下がる度に璃音くんが一歩一歩近づいてきた。
「……あっ、」
背中に感じたのは壁の冷たさ。追い詰められた。
「…止ま…っ、」
あの時は、文化祭の時は、アリスで止めた。
けど、今回は声が出なかった。
「……んっ！？」
あたしの言葉は璃音くんによって遮られた。
「同じ手は通じないから、」
璃音くんの唇があたしの唇と重なった。
「どうしてっ、こんなことっ、」
唇が離れた瞬間、璃音くんの頬を叩いてしまった。
「…棗とは出来んのに、俺とは出来ねーのかよ、」
そう言った璃音くんの体は震えていた。その声も震えていた。
「…ごめんっ、A…止められなかった、」
その時に初めて気づいた。
「…璃音くん、泣いてるの？」
───ごめん、父さん、母さん。
ちゃんと、ちゃんと言うから。
だから、キスした事は許して欲しい。
「…り、おんくんっ、」
初めて見た。璃音くんが泣いているところ。 どうしたら良いのか分からなくて、気づいたら抱き締めていた。
「…好きだっ、」
「……え？」
それは、突然の告白。
「…Aが、好きだ。」
それは、信じられない事実。
「…家族としてだけどなっ、」
それは、残酷すぎる言葉。
「…何、言ってるの？
…家族って、意味わかんないっ、」
耳を疑った。頭が回らなかった。
璃音くんの言葉についていけなかった。
「…A。今から俺が言う事は全部事実」
璃音くんの言葉を聞きたくなかった。
「俺とお前は血が繋がった兄妹だ」
璃音くんはもう泣いてなかった。その代わりにあたしの瞳から沢山の涙が溢れ出した。
「信じろって言う方が無理かもしれねえ。今更、家族になりたいとも思ってねえし。これからも、今まで通りに接して欲しい…」
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作者名：未来 | 作成日時：2022年11月24日 13時
