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あれから懸命に穴の捜索をした。


虫達の住み処だったり、動物達が入って戻ってきた者がいない危険なものだったり。


初めの場所に戻る穴を捜したり、穴からモクモクと変なガスが漂ってきたり、と。


ワープ出来そうなものやアジトの入り口らしきものは、見当たらなかった。


そうしている内に辺りは赤く染まり、茜色の空には烏の鳴き声が響く。東の空は暗く、星が輝きだしていた。


結局、必死になって探したが、その日は何も見つからず日が暮れてしまった。





「もう日暮れ…
これ以上、暗くなったら闇雲に動くのは危険だな」



「昼間みてーな奴らに出くわしたら、即終了だしねー」




昼間の時より明確な目標がある分、まだ良いだろうが、やはりそろそろ、ちゃんとした休みを取らなければならないだろう。


初等部組にも、先程より疲れの色が濃くなっている。




「ルカぴょんもアリス使い通しで疲れてるし。
今日はこの辺にするか…」



「え、」





穴の捜索にアリスを酷使して、疲労する流架を見て翼が言った。





「俺は別に……、!」





まだやれると、無理をしようとする流架の頭を透かさず棗が軽く小突く。痛みはないが、流架は小突かれた所を押さえて声を上げた。





「なつ…?!」





しかし、棗は既に体の向きを変えてスタスタと前へ歩き進んでいた。





「おい。ルカ以外の奴、寝床探すぞ。あと食料も」



「名前呼べやコラ…」



「明日もお前が頼りだ。
さっきの足、本当はまだシビれてんのムリしてんだろ。今日はもう休め」





振り向く事なく、そう呟く棗を唖然と見つめた。


棗の言葉に、いつも彼の力になれないでいた自分が棗に必要とされていると分かり、嬉しかった。





“ルカもいる”





高等部の生徒会室で棗が言った言葉を思い出した。





“お前が頼りだ”





もっと、もっと力になりたい。流架は棗の拳が当たった頭に触れて、照れくさそうに俯いた。





「これって食べれるのかな…小枝も必要だよね。
夜は冷えるから焚き火しないと、」





流架を心配して、そして頼りにしてるからこそ棗くんの言葉に黙って従った。


多分、棗くんにはあたし達には見えない流架のことが見えているって分かったから。





「この辺でいいんじゃねーか?」





暫くしてから翼くんが寝床に出来そうな場所を見つけてくれた。森の中で一際目立つ、大きくて立派な樹木の下で今夜を凌ぐ事にした。

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作者名:未来 | 作成日時:2022年6月27日 14時

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