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蜜柑が持っていた発信機を頼りに、辿り着いた場所。
「あ…」
大きな扉を開けて中に入った。目に飛び込んで来たのは戦っている皆の姿だった。
「Aっ！蜜柑っ！お前ら無事で…」
「翼くん！」
「先輩！棗っ！璃音！ルカぴょん！ペンギー！」
あたし達に気づいて名前を読んでくれた翼くんの元に、蜜柑と走って近づいた時に感じた違和感。
「あっ！こっちくんな蜜柑っ！外出てろ！」
「蜜柑！危ない！」
蜜柑に瞬間移動で近づいた男の人。
「A！ダメだ！！」
「止まれええ！！」
璃音くんが止めるのも聞かずに、その男の人にアリスを使った。動かなくなった男の人を見て蜜柑の手を引いて逃げた。
「Aっ！」
「あ…っ」
敵から逃げられた事で安心してしまった。ドーンッ！という爆発音と共に爆発に巻き込まれた。
「…っつ、棗くん、」
もうダメだ。そう思っていたのに、目の前には爆発からあたしを庇った棗くんがいた。
「バカやろう！油断してんじゃねえ！！」
「ご、ごめ…っ」
「いなくなるのは蟻地獄一回だけでこりねーのか！」
棗くんの言葉にハッとした。蟻地獄に落ちたあたしを、必死に名前を叫んで手を伸ばした棗くんの姿が蘇る。
あたしを庇ったせいで、怪我をした。棗くんがあたしのせいで、怪我を負った。
どうしようっ、そう思った時に放たれた光線から庇ってくれた。次の瞬間、２度目の爆発音がした。
「…棗くんっ、」
「はあ、はあっ…」
「大丈夫か２人共！」
「棗っ、血が…」
離れたところにいる流架と数人の敵と対峙してる翼くんが名前を叫ぶ。
「相殺ですか…」
爆風で立ち込める煙の中で、再び庇ってくれた棗くんは体中に怪我を負って血が流れる。
相手の攻撃に自分の攻撃を当てて、傷を最低限に防いだ棗くんは戦い方を知っている。
戦場にいると、改めて思い知らされてしまう。棗くんがどれだけあたし達と違う境遇で生きてきたかを。
「後ろについてろ。俺より前に出るな」
その小さな背中で、抱えきれない程の苦しみを背負って生きてきた棗くん。
小さいと思っていた棗くんの背中。あたしの前に立っている棗くんの背中は大きくて温かかった。
───棗くんはどんな時でも強い背中で立っている。
「仕方がねーからお前は俺が守る…」
その自信の裏にある、潜り抜けてきたものを思い知らされてしまう。
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作者名：未来 | 作成日時：2022年6月27日 14時
