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「おい、行くの?!」
「あっちへ行こうか同じだ」
内側から扉を開けてもらった棗を始めとする4人は、A達の行方を捜すべく歩いていた。
「お──い、ホントにこっち来てよかったんかよー」
「文句言うなよ。入口は一つしかなかったし、もう扉は閉まっちゃったし」
「大体、自分から扉開く事自体、罠臭いっつーか、今んとこ変なモンは出てきてねえけど」
誰もいない静寂な廊下に声が響く。確かに向こうから扉を開けたのは罠臭いし、かなり怪しい。
2人を人質に取られてから、璃音の心中は決して穏やかではなく、表情は険しい。
「奴らがこの道で来いと条件突きつけてきたんだ」
先程よりは冷静になれた。それなら今、怒っても仕方がねえよな。
「売られたケンカは黙って買え」
「…お前が怒ったって仕方ないだろー。
怒って2人が戻ってくるわけでなし…」
けどやっぱり、こんな事目の前で言われると腹も立つ。
“A”
“……なつ、”
助けられなかった悔しさからか、棗は手に力を入れ握り締めてる。
「ま──、これ以上、気にすんなよ。確かに今まで大口叩いてた割に、2人を助けられなかったのは、人としてかなりイタイっちゃあイタいけどさ──」
それはやっぱり棗も同じだったみてーだな。翼って馬鹿だよな。棗の地雷スイッチ踏んでやがる。棗は翼を吹っ飛ばした。
──奴らに会って確かめたいことがある。
ただでさえあの娘は──
“能力をぬすむアリス”──…
あの娘の両親は──
“能力を奪うアリス”と“能力を恵むアリス”───……
あいつらが言ってた事が本当なのか
そんなアリス、本当に…
「棗っ!」
「あっぶね──…お前、何ボケっとしてんだよ!」
「……っ!」
その言葉で我に返った棗。そこで初めて、怪しい光線が俺達の方に伸びていた事に気づいた。
「は…なせっ!」
「あーハイハイ。
それだけ元気あれば大丈夫だな!走るぞ!」
棗の奴、何考えてやがんだ。トラップに引っかかったら元も子もねーじゃねえか。
俺達を狙ってくる謎の光線は、まるでこちらに向かって走れと言わんばかりに後を追ってくる。
「…何か、この光線に行く先、自然と追いやられてるカンジしねえ?」
「何となく…」
「え…」
多分あいつらの罠だろうけど。着いた先はデカい広間。そこにはZと思われる連中がいた。
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作者名:未来 | 作成日時:2022年6月27日 14時