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「私は絶対に許さないわ!」



「俺の大切な仲間を、家族を傷つけたお前らを俺は絶対に許さねえ!!」





───茜、理人先輩…
あたし達がしてたことは…間違いだったみたい…





柚香はこの時初めて、自らの行いが間違いであった事に気づいたのだ。


自らが良かれと思って行った事が、逆に彼らを苦しめていた。その事実が柚香の心に刻まれたのだ。


自らを始めとする、沢山の人物の人生を滅茶苦茶にしたあの学園を、あの家を必要とする人間がいる事にも気づいてしまった。



“あたし達みたいな人間(生徒)を出さないために…”



そう思ってやってきた事が逆に今、学園内で生きる子供達を苦しめていたのだ。





「あんたらを、ウチは絶対許さへんからっ!!!」





その一言で柚香は我に返った。監視カメラの向こう側で嘲笑う御原が映ったような気がして思わず睨みつけた。


母親としての情を出すわけにはいかないのだ。この場で自分と蜜柑は“敵同士”なのだ。


そうして心を鬼と化して柚香は必死に自らの感情を抑え込む。





「な…っ」



「……ガタガタうるさい」



「蜜柑っ!」





女の人が一瞬、カメラを見た。
そして蜜柑を突き飛ばすと、鞄を使って吹っ飛ばした。


蓋を閉めていなかったみたいで、鞄の中身も一緒に飛び出して散らばった。





「─────〜〜っっ!な…っ」



「ガキの騒音に我慢してやるのもここまでだ」





口調が変わった。
それなのに、瞳の色は全然変わってない。





「…だめっ!」



「動くな」



「…っ、」



「………やっぱ無効化(アリス)か…」





目の前で蜜柑が女の人に首を掴まれた。蜜柑のアリスが効いたのか、首を掴んだだけですぐに手が離れた。


…何もされなくてよかった。近くで骸骨はせっせと散らばった鞄の中身を拾ってる。





「…過ぎた事をいつまでもグチグチと。
なってしまったもんは無に返せないんだよ」



「!」





一度立ち上がった女の人は蜜柑のお腹を蹴った。





「………
優しく尋問してやろうと思ったけど、気が変わった」





蜜柑を見つめる瞳。
苦しそうで悲しそうで何か言いたげな瞳をしている。





「お前達はせいぜい、あのサディストから痛い目にあうといい。あっちで今頃、お前達の仲間がそいつに捕まってるはずだ」





そう言った女の人は、カメラに分からないように蜜柑に近づいて何かをした。その時に分かった。

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作者名:未来 | 作成日時:2022年6月27日 14時

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