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流架は耳を塞ぎ、棗くんは毒を吐いて、その後ろで蜜柑の大きな悲鳴で耳鳴りが止まらない翼くんとあたし。
璃音くんが顔を顰めて注意したけど、蜜柑の騒ぎは止まらなかった。
「ル…ルカぴょん何故にうさ耳モード！？」
「ちょっ、佐倉…」
流架に視線を移した蜜柑はまた叫んだ。次にペンギーを抱っこする翼くんを見つめた。
「翼先輩、ペンギン親子 ──！？
何やってんの──？！」
「お前こそ何、言ってんの？」
飽きれ半分で翼くんが蜜柑を見つめる。あたしとあたしの鼻に袖を押し当てる璃音くんを見た。
「璃音はモフモフオオカミ！？モコモコ羊てそんな格好したらあかんAっ、襲われてしまう…っ！！」
「へ？！蜜柑…どうしちゃったの？」
「何妄想してんの、蜜柑…」
「棗、ネコ耳…」
ドカッ…!!
最後まで言い終わらないうちに、太い木の棒で棗くんにぶん殴られた。
「目ぇ覚めたか？さめねえなら、もう一発」
「あ…あい…、さめました…」
「ガキはホント容赦ねーなー…」
頭に大きなたんこぶを作って、痛そうに蹲る蜜柑。涙を流しながら謝った。どうやら正気に戻ったみたい。
「おい、この煙…」
「ああ…多分、幻覚香の類だ。すうなよ」
そう言われて蜜柑は自分の鼻とペンギーの口を、流架も自分と鹿の鼻を押さえた。
「ここら辺にいる奴らを幻覚で錯乱させるって手だね」
棗くんと璃音くんが後ろで話してるのを聞いてやっぱり２人は世界が違うのかも、なんて事を考えてしまった。
「てことは、あの火山口から誰かが意図的に煙を出して活火山に見せかけてるってことか…」
活火山で一番危険といったら火山口だ。なら、煙が出ていない火山口がZのアジトだということに行き着く。
「…じゃあ、あの火山口が、あそこがＺの…」
自分で言った言葉なのに心臓がドクドク鳴りはじめた。あそこにZが、敵がいるんだ。
この辺りで唯一煙の出ていない火山口。あたし達はその場所へ向かって歩き出した。
その頃、ウ───……と施設内にサイレンが鳴り響く。いくつもあるZのアジトの一つ、"火山口"のこの場所を拠点としている。
「この音…侵入者？
(あの山の
端正な顔立ちの女、名を茜という。彼女の顔がより一層険しくなった。
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作者名：未来 | 作成日時：2022年6月27日 14時
