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「おはようー！」
「……ん、」
「翼せんぱ──い、お──き──て──っ！」
暫くして、漸く意識が覚醒して上体を起こした。隣には何故かぐっすりと眠る流架がいた。
向かいで蜜柑が翼くんを起こしてるのを見ながら昨日の事を考える。
「え、…何かお酒臭い、」
鼻にお酒の匂いが入って、考えるのを止めた。不思議に思って試しに服の袖を嗅いでみると、自分から匂ってると気づいた。
「ちゃんと寝た？」
「あ──、ねたねた…(１時間…)」
どうしよう。記憶がまるでない。
ペンギーに葡萄を貰って喉が渇いて湖に行って、流架に会って月を一緒に見て、それから…何だっけ。
「あれ…お酒くさ…な…何で？！」
「流架も？」
「｢……｣」
流架も同じように袖を嗅いでは、少しパニックになって周りを見た。そんなあたし達を翼くんと蜜柑が生暖かい目で見つめてた。
「時間がない、行くぞ」
「う、うん…っ」
あたし達の方を見た棗くんと目が合った。ビクッと体が揺れてしまった。そうだ、思い出した。あたし棗くんに
あれ、どうしよう、その後の事を全く思い出せない。
「目的達成のタイムリミットは今日の夜だ。
さっさと
考えれば考えるほど分からない。そんな事より棗くんの咳の仕方が可笑しい？何だか顔色もよくない気がする。
「棗、顔色悪いで？アンタ大丈夫？」
昨夜の不調が尾を引いているのか、顔色の悪さが見えていたらしく、蜜柑に心配される棗。
棗の不調の原因を知ってしまった翼は何とも言えずただ気まずそうに、棗へと視線を向ける。
「フン、お前こそ顔 悪いぞ。大丈夫か」
「お前てやつは〜〜、心配したってんのに…」
だが翼の心配を余所に、棗は平然と毒を混ぜては蜜柑に返事を返した。
「大体、あいつらが俺達みたいに、わざわざ危険な道を通ったとは思えないよね──って事は、あの一連の道を飛び越すワープ穴が、道の始まりと終わりあたりにある可能性が大だよ」
昨日と同様に、流架の動物フェロモンを利用して動物達からの情報を元に探し続けているが、なかなか穴は見つからない。
山道は普段歩く道とは違う非常に急な道が多い。朝から歩き回っているため、体力を激しく消耗する。息を上げながら歩き続けていた。
先頭を歩く翼は、息が荒い棗に気付いた。
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作者名：未来 | 作成日時：2022年6月27日 14時
