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「…俺にもしもの事があった時、Aを頼む」
「…おまっ、もしもの事って…」
「…じゃ、それだけだから。
俺のアリスで結界張ってやるから、さっさと寝た寝た」
言いたい事だけ言った璃音は再び眠りについた。眠りにつくどころじゃなかった。
「…可能性があるなら諦めなかったんだけどよ…その点アンタは幸せ者だよな。じゃ、お休み。翼せーんぱい」
最後に俺の方を見て笑った璃音。あいつの言葉と想いが頭の中でグルグル回った。
「どこに行くんだ」
「あら───…
岬先生…♡寝てたんじゃなかったんだ」
「やっぱりな…見張りに来て正解だったか」
一方学園では、家を出ようとしていた鳴海は呼び止められた。振り向くと、眉間に皺を寄せて立つ岬は酔い止めとフェロモンガードを持っている。
「見張りときたか……おかしいと思ったんだ───普段付き合いのよくない(僕限定)あの岬先生がさ───…」
「お前が単独でバカをやるのを止めてやるためだ。今日のお前、あきらかに様子が変だったからな」
今日は飲むぞ、付き合え。珍しくお酒を持って誘われ、え──…♡と喜んだが、何か変だとは思っていた。
鳴海は頭を抱えるようにして、岬にバレないように制御ピアスを緩めていく。
「その感じだと、行動を起こすに至る何らかを掴んだんだろう｣
「いや──そうなら良かったんだけど……全然…｣
Ｚを追うために、Aらが学園を出た翌日の昼下がり。本部の廊下で殿内を追い詰めた。
「殿内、何してる。会議に遅れるつもりか」
「じゃ、先生。失礼します」
だが、近くを通りかかった昴によって阻害された。殿内の情報は何も得られなかった。
「とにかく、これ以上、
目をつけられるような勝手なマネは…」
がしっと岬の頭を掴んで、ぶっちゅ〜と熱いキスをお見舞した。フェロモンに当てられた彼は気を失った。
「ごめんね──岬先生♡
ま──た恨まれちゃうな──♡」
フェロモンガードなんて、制御ピアスを外しちゃえば、あって無きが如しよ──ん♡とおちゃらけた。
「……」
岬を支えて床に寝かせると、鳴海は真剣な表情をした。
「…何を掴んだわけじゃなくても、この事の顛末の終着点。心当たりは当たっておきたいんだ…」
僕の大事な生徒を
…あの日の借りを、返してもらいに行くよ……
岬先生あとよろしくね、鳴海♡
置き手紙を残して、静かに家を出た。
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作者名：未来 | 作成日時：2022年6月27日 14時
