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そうして戻ってきた棗が見たものは、何故か酔っ払った４人だった。
「あれ──。
何で棗がAおぶってんだ───」
「くすくす」
「ふふふ〜何や棗やんか〜」
頬を赤らめて、いつもより陽気に葡萄らしきものを手に棗達に声をかける翼。
此方も顔を赤らめて何が可笑しいのか笑いながら、同じものを食べている流架。
そして新しい玩具を与えられた幼子の如く、ペンギーを力任せに抱きしめる蜜柑。
「も──参ったよな───この山はよ──。
やってくれるぜ、ひっく。ペンギーがもってきたブドウがさー、何かアルコール入りだったみてーでさー」
と言いつつ、翼も酔いが回っているようで、若干語尾が間延びしている。流架と蜜柑は完全に酔っ払っていた。
「…それをコイツらも食べたってことか、」
自分の背中にいたAを優しく降ろした。
棗がAを見つめる瞳はただ、ただ、優しかった。
それはまるで、愛おしい女を見つめるかのように。
「…あー、そーいえばー、Aも食べてたなー」
「…璃音、てめーまで酔ってんのかよ、」
「俺はあんまり酔わねーから、いーんだけどー。流架と蜜柑がさー、出来上がってんのよー」
近くの大きな木の幹にもたれかかって、酔っ払う３人を傍観していた璃音の頬もほんのりと赤かった。
「そろそろ燃やすもんなくなってきたな……」
「ぺ───ッ！！！」
「！！、ちょっ、棗っっ！？」
今にもその手に炎を宿しそうな雰囲気に、蜜柑は酔いが覚めて焦りながら名前を呼んだ。
この状況を一瞬で悟った棗がペンギーの頭を鷲掴んで、問答無用で燃やそうとしている一方、翼は寝ているAに絡んでいた。
「あれーA、寝てんの？
お前、今日もかーわいーいなぁー」
酔ってベタベタとAにくっつく翼を、鹿と戯れている流架は気付いた。
「ベタベタ触るな、バカッ！」
次の瞬間、思いっきり翼を突き飛ばした。勢いによってバランスを崩した流架は、Aに倒れかかってぎゅうっと抱きついた。
「流架ってば、大胆ー」
「あ──…酔いさめたわ──…」
近くの木に顔をぶつけた翼は、酔いが一気に覚めて我を取り戻した。
「ルカ」
「なつめ…」
「……もう寝ろ」
「…なつめ…、なつめ…」
棗はくいっと自分の方に引き寄せた。棗に呼ばれた流架の彼の名前を呼ぶ声は小さくなっていき、いつの間にか寝息を立てていた。
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作者名：未来 | 作成日時：2022年6月27日 14時
