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太陽は自ら輝くことを止めました。
自分の殻に閉じこもってしまいました。
そんな時、太陽が出会ったのは1人の少年でした。
誰も寄せ付けないような鋭い瞳をしていました。
愛想笑いなんか一切しない。
それでも少女には彼が、彼こそが輝いて見えました。
「最後は…棗くんだよ。あたし、棗くんの事考えてた。出会った時から、棗くんは何だろうって考えてた。
それがさっき、やっと分かったの、」
少女が欲しかったもの。それは、自分を照らす光。
そして、自分が照らせる光。赤く燃えるように輝く光。
「棗くんは、太陽だよ。誰が何と言おうと棗くんは太陽だよ。真っ赤に燃える、あたしの光」
あたしがあの日見た光は棗くん、貴方です。
あたしにとって貴方は、かけがえのない存在なんです。
出会った日から、ずっと変わらず輝き続けているあたしの太陽。
そして、あの日から忘れる事の出来なかった変わらない貴方への想い。
「…棗くん、あたし…っ、
棗くんに
今日、初めて棗くんと目が合った。
あたしを見つめる棗くんの瞳には驚きが写ってる。
「……お前、ルカに石やるって約束したんだろ」
ルカの笑顔は明らかに愛しい女へ向ける笑顔だ。
やっと、ルカが笑えるようになったんだ。
「……お前は、ルカの石だけ作りゃいーんだよ」
そう言って、湖を向いてしまった棗くん。
「…棗くん、」
湖を向いた棗くんの頬っぺを両手で挟んだ。無理矢理にあたしの方を向かせた。普段だったら絶対に出来ない。
「……あのね、あたし、」
再び視線が絡まった。
何でかな。棗くんが、あたしを、愛おしそうに、大切な人を見るかのように見ている気がした。
「……棗くんが、」
何か、頭がボオーッとした。普段だったら、いや違う。これから先、一生かけても言えないような言葉が口から出た。
「……好き、」
開かれた棗くんの瞳。
「…馬鹿じゃねえの」
いつもの悪態と共に真っ赤な瞳が閉じられた。近づいてきた棗くんの顔が見えた。あたしは黙って目を閉じた。
「……んっ、…」
さっきペンギーがくれた葡萄のせいかな。頭がクラクラしてきた、もう、ダメ。
「…ス───ッ……」
「…こいつ、寝やがった…」
ふざけんじゃねえ、と舌打ちをした棗だったが、Aを見つめる瞳は何処までも優しかった。
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作者名:未来 | 作成日時:2022年6月27日 14時