206 ページ10
「なんかさー、バカ(蜜柑)が率先して頑張ってるせいかクラス中が勉強モードじゃねぇ?」
蜜柑に影響されてなのか。それとも、バカには負けられない精神からなのか否か。
勉強しているクラスメイト達を見渡りながら棗の周りにいる取り巻き達が呟いた。
「勉強したとこで結果はみえてる奴らばっかのくせしてさー。バッカみたい」
「ねー。頑張ったからって帰れるわけねーじゃん」
「「「「………。」」」」
そんな憎まれ口を叩きつつもやはり皆、家に帰りたいという願いはあるようで、彼らの視線は棗へと向けられていた。
ふと、心読みが蜜柑の肩を叩く。みてーと言った指差す先には、棗の周りに集まって勉強を教えて貰う取り巻き達の姿があった。
にやにや…と見ていると「うっせーな。別につられたわけじゃねーぞ」と赤くなりながら言ってきた。
「……」
今現在、クラスの皆が勉強モードになった事もあって、普段は勉強しない棗くんの友達も勉強し始めた。
隣にいる棗くんに皆が質問してる。
棗くんサボってばっかなのに、賢いからすごいよね。
「どこだよ、分かんねーとこって」
「えっと、こことこことー。あ、ここも」
「全部じゃん…」
「あ、棗さん、俺もここが…」
「お前ら脳みそ入ってんのか?今更こんなんで、面会権とかほざくな」
「そんなーっ」
「死ぬ気でやったらもしかしてと思って…」
「じゃあ死ね」
辛辣な言葉を言われてる、けど。棗くんに教えて貰えるってちょっと羨ましい。そんな事を考えてたら、棗くんの視線があたしに向いてる事に気づいた。
「…えっと、あの…」
「…英語、お前得意なんだろ」
棗くんは多くを話さない人だけど、その瞳はいつだって本当の気持ちを物語っていた。棗くんの瞳は本心を言いたい事を教えてくれた。
「…ふふっ、うんっ。皆で英語やろ?」
「「よっしゃああ──っ!!!」」
それを聞いた男の子達がガッツポーズした。その後は、あたしは英語を担当して棗くんはバッサリと切り捨てる言葉を吐きながらも色々な教科を教えていた。
「…うん!合ってるよっ!」
「へへ、やったぜ…んがっ!」
「…。手が滑った…」
「な、棗さん…」
参考書が飛んできて、その子の顔に直撃して吃驚した。
なんだかんだ賑やかな棗くん達を見てあたしは蜜柑達と目が合って笑った。
でもこっちを見つめる流架の寂しそうな表情には気付けなかった。
217人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未来(プロフ) - 七瀬あおいさん» コメントありがとうございます!お気遣いまでしていただいて有り難いかぎりです。引き続きよろしく読んでいただけると嬉しいです。更新頑張って参ります! (2021年7月29日 15時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬あおい(プロフ) - このシリーズとても大好きなので更新めちゃくちゃ嬉しいです。これからも未来さんのペースで構わないので頑張ってください。 (2021年7月24日 22時) (レス) id: 56c81eaebe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:未来 | 作成日時:2021年5月20日 0時