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「え、何で僕?!」
「"委員長"でしょ!いいんちょ──っっ!」
「は…はい〜〜、でも何で〜……」
彼は全く関係ない。寧ろお礼を言われる立場であるのに怒鳴りつけられて押しに負けた。
「じゃあ、ちょっとだけ……あんま怖くないやつを…」
般若の顔で叫ぶスミレが余りにも恐ろしくて、半泣きで渋々と手を組み合わせた。これは彼が
未だに怒鳴り散らすスミレ、そんな彼女を宥めるA。
自分は関係ない、と皆を見ながらお土産のおきゅうとを食べている蛍、そしてその姿を見ている蜜柑。
アリスを念じていた委員長が、ふと目を開けて戸惑ったような声を上げた。
「あ…れ...……え、」
そう、その日はなんて事ない普通の日だった。委員長が帰ってきてペンギンもいて、いつもと変わらない賑やかな日だった。
「
……いつもと変わらない、そんな日の出来事だった。
「…え……っ」
その言葉を聞いて、あたしは委員長から貰ったお土産を落としてしまった。
ガシャンッ……。割れたコップは、まるであたしの心を表しているみたいで暫くその場から動けなかった。
委員長はそれから、焦ったように教室に来た鳴海先生に連れて行かれた。行き先はきっと本部にある研究機関。
野田先生が調査の結果と何度も言っていたから、数日間みっちりと調査されるに決まっている。
「──前にも言った通り、これは緊急事態です。飛田君については本部の研究所に隔離・検査中です。どういう理由であれ、誰とも面会は許可できません。
まだ、はっきりした事がわかっていない時点ですので、いずれ皆さんにも、本部職員が検査等をする事があると思うので、そのつもりで。
この件に関して、決して無駄に騒いだり、ある事ない事考えたりしない様に。以上」
連絡事項を告げて教室を出て行った普段と違う真面目な表情の鳴海先生に誰もが言葉を失った。
身内しかもB組からアリス紛失者が出て、皆は信じられないような面持ちだった。
「委員長が紛失者になるなんて…」
「ナル、流石にいつもみたくふざけてなかったね」
「これで隔離2日目か──…」
「……ねぇこの先、委員長…どうなっちゃうの………?」
クラス内で生まれた不安はどんどん広がって、聞こえる声が揺れていた。
その不安を肌で感じながら教室を出て、鳴海先生の後を追いかけた。
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未来(プロフ) - 七瀬あおいさん» コメントありがとうございます!お気遣いまでしていただいて有り難いかぎりです。引き続きよろしく読んでいただけると嬉しいです。更新頑張って参ります! (2021年7月29日 15時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬あおい(プロフ) - このシリーズとても大好きなので更新めちゃくちゃ嬉しいです。これからも未来さんのペースで構わないので頑張ってください。 (2021年7月24日 22時) (レス) id: 56c81eaebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2021年5月20日 0時