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棗
何を一人で、考えてるの?
何を一人で、抱えこんでるの?
少しでいいから、肩に背負った荷物を俺にも分けて。
俺にできる事は何だってするから……
明良くんが久しぶりに外の仕事から帰ってきていろんな事を話した。
棗くんの調子が最近悪い事。それが明良くんから聞いた話で1番心配だった。心配を他所に時間は簡単に過ぎて行った。
「みんな──はやく──っっ!
いいんちょ──帰ってきたよ───っ!」
委員長が無事に故郷から帰ってきた。彼の帰省を素直に喜ばない所がB組らしいといえるだろう。
「ただいま──!」
「「「「「「おみやげら───っっ!!!」」」」」」
「ひゃっほ───い!!」
「まってました──!!」
「え……」
スーツケースを引きながら、少し照れくさそうに教室に入って来た彼への第一声は何とも薄情であった。
お馴染みのメンバーは自分の帰省よりもお土産で騒いで喜ぶ姿に、彼は呆然と見つめた。
「えっとー…これが蛍ちゃんに頼まれた「高級辛し明太子」と「おきゅうと」。あとこれ頼まれてた「黒田節人形」……」
「ありがとう…♡︎」
「いいんちょー、福岡出身やったんかー!」
委員長は皆の冷たく思いやりのない出迎えにしくしくと泣いて悲しみに暮れながらも、スーツケースにたくさん詰めたお土産を配るので本当に優しい子である。
「冗談じゃーん」
「お土産もだけど、いいんちょーも待ってたって──」
めんたいこ抱き枕を手に持つ心読みとめんたいこ帽子を被るキツネ目君が委員長を慰めるが、お土産を楽しみにしていた事は否定しなかった。
「ありがとうっ、委員長」
「他の人には特に指定なかったし、お菓子とか人形とか買ってきたから──。よかったら好きなのをー
はいコレ…。はい、どうぞ。は…」
Aもちゃっかりお土産を受け取って、お礼を言った。
一列に順番待ちをする皆にお土産を配っていると見た事のないペンギンが嬉しそうに受け取った。
謎のペンギンの登場に驚いていると、顔色を変えた蛍はペンギンの頭を鷲掴んで持ち上げた。
お土産を没収されて、ペンギンは少し落ち込んだような泣き声を漏らした。受け取ったお土産・名菓博多の女は眉間に皺を寄せる蛍の口の中に含まれた。
「わっ、何やこいつ──!かわいいっ!」
彼女が作ったペンギンロボットで注文販売用で作ったが返品されてしまったらしい。
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未来(プロフ) - 七瀬あおいさん» コメントありがとうございます!お気遣いまでしていただいて有り難いかぎりです。引き続きよろしく読んでいただけると嬉しいです。更新頑張って参ります! (2021年7月29日 15時) (レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬あおい(プロフ) - このシリーズとても大好きなので更新めちゃくちゃ嬉しいです。これからも未来さんのペースで構わないので頑張ってください。 (2021年7月24日 22時) (レス) id: 56c81eaebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未来 | 作成日時:2021年5月20日 0時