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フランスパンを片手に食べていた美咲が機転を利かせて口を開いた。
「…じゃあ今は学園の外の方が要注意で。だから先輩もあぶないから仕事をキャンセルして事件落ち着くまではしばらく学園にこもるってこと？」
「んー、まあそういうことだな。つまんねー」
「げ──っ！じゃあ、ここにも入り浸りってこと？！」
「なんだー翼。うれしーかー？」
「うれしくね──っ！」
「じんいてき原因って何？」
「誰かが原因を作るって事だよ」
笑顔の殿内に絡まれて嫌そうに叫ぶと首を絞められた。蜜柑の質問には美咲が答えた。
Aは外にいる委員長へ思いを馳せた。どうか、無事に帰って来て欲しい。そう祈るしかなかった。
この時の彼女は知る由もなかった。この数日後に、待ち焦がれた親と再会することになる事を。その親と、戦うことになる事を。
一般道路を走るには、違和感のある不似合いな高級車。その後部座席には少年が一人、窓の外を見ていた。
学園の外にいる。普段では絶対ありえない、そんな夢のような時間も終わりを告げた。
「飛田様、もうすぐ学園に到着いたします」
「はい、ありがとうございます」
返事をしながらこの一週間の事を思い出す。久しぶりに会って家族と過ごす時間はあっという間だった。
あまりにも早すぎて物足りなさが残っている。けれど、友達と会えるのは素直に嬉しい。
「あぶないっ！」
家族との写真を見つめながら思い出に耽ると、突然車が大きく揺れた。
「だ…大丈夫ですかっ！？ケガは…」
慌てて外を確かめると、一人の女性が倒れている。彼は思わず車を飛び降りてその女性に駆け寄った。
先に下りていた助手の声に反応して応えている姿を見る限り、どうやら大きな怪我もなく無事なようだ。
無意識にほっと息を吐きながら、女性が立ち上がろうとするのを手助けに手を差し伸べた。
「ああ…ありがとう……ご親切に」
俯きがちに呟かれた言葉に、よかったと安心した。
しっかりとした足取りで立ち上がった女性。荷物を持ち直しながら頭を下げた姿を横目に、運転手に急かされて車に戻った。
彼の背中を見つめる女性は怪しく笑みを浮かべていた。
車に乗り込んだ時には、もう既に何処にも先程の女性は見当たらなかった。
何の変哲もない、普通の女の人だった。けれど、一瞬。
深くかぶっていた帽子から覗いた顔が誰かに似ている気がして、その疑問が強く頭に残った。
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未来(プロフ) - 七瀬あおいさん» コメントありがとうございます！お気遣いまでしていただいて有り難いかぎりです。引き続きよろしく読んでいただけると嬉しいです。更新頑張って参ります！ (2021年7月29日 15時) (
レス) id: ff0bac3a56 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬あおい(プロフ) - このシリーズとても大好きなので更新めちゃくちゃ嬉しいです。これからも未来さんのペースで構わないので頑張ってください。 (2021年7月24日 22時) (レス) id: 56c81eaebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未来 | 作成日時：2021年5月20日 0時
